内容説明
厳しい飲酒規制がしかれる町の一角で、祖先から受け継がれた物語をキャンバスに描きながら、当たり前のように酒を飲んでいるアボリジニの人びと。彼らは「人種差別」と批判されるような国家の強圧的な介入に対して、抵抗するわけでもなく、従うわけでもなく、狩りの知識とスキルを活かして平然とそれをかわし、楽しそうに酒を飲み続けていた。「危機」に直面しているといわれているアボリジニ社会の、この「危機らしからぬ」現状を、私たちはどう理解することができるのだろうか。
目次
序論
第1部 アボリジニとポスト植民地状況(飲酒政策をめぐるアボリジニの分断;中央砂漠におけるアボリジニと入植者の関係)
第2部 アナングと酒の歴史的展開(中央砂漠の住民、アナング;酒の扱い方の変遷)
第3部 酒狩りとアナング・ウェイ(酒の購入資金を稼ぐ;酒を獲得する;酒を分配する;関係を修復する)
結論
著者等紹介
平野智佳子[ヒラノチカコ]
大阪府出身。国立民族学博物館助教。2003年、神戸大学医学部保健学科卒業後、看護師として勤務。2020年、神戸大学大学院国際文化学研究科博士後期課程修了。博士(学術)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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