内容説明
19世紀末からホロコーストの前夜までウィーンのユダヤ人社会は、「しかし」から「しかし」へと、「こだわり」から「こだわり」へと揺れ続けた。ユダヤ人は、多民族国家ハプスブルクを礼讃しつつも、そこでの民族共存が幻想にすぎなかったことを知り、みずからユダヤ民族主義へと走りつつも、民族自決の限界と危険性を認識したのである。本書は、ウィーンのユダヤ人社会の体験に取り組んだ研究である。
目次
第1部 世紀末ウィーンのユダヤ人社会(世紀末ウィーンのユダヤ人社会;反ユダヤ主義とオーストリア神話)
第2部 第一次世界大戦とユダヤ人(ガリツィア・ユダヤ人難民;戦間期オーストリアの反ユダヤ主義)
第3部 戦間期ウィーンのユダヤ人社会(戦間期ウィーンのユダヤ人社会;放浪のユダヤ人)
ホロコースト前夜
補論 1848年3月前期ウィーンのユダヤ人社会
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ルナティック
4
便宜上この日付で。野村氏の著作の魅力は、ホロコーストそのものではなく、その背景にあるものを丹念に描き出すことにある。この本は、2つの大戦間のウィーンを舞台に、ユダヤ人の存在、そして生活、そのユダヤ人を周囲がどういう視線を浴びせていたか等々を語っている。ウィーンという大都会に移民として流れ着いた東欧ユダヤ人達。彼らを、邪魔者扱いするのは、どうのような理由で?そして誰が?華やかなイメージあるウィーンの暗部にも迫るような一冊だと思う。私的には、ドイツもやったが、オーストリアも・・・と思っているので。他にもね。2014/04/15