目次
第1部 憲法問題への視点(ケベックと憲法問題;憲法による人権規約の明文化)
第2部 カナダ政治とケベック(一冊の本、課税およびその他の事柄について;ケベックにおける民主主義への障害;連邦主義の理論と実践;知識人の新たな裏切り;連邦主義・民族主義・理性)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
guranobi
0
英仏系を始めとする多民族国家カナダの現在の骨格を作ったトルドーの論文集。彼の主張は理性と感情のバランスであると僕は理解した。理性(と法律)に基づく連邦主義を唱えながらも、その連邦国家への帰属意識を喚起するために、国旗・国歌・教育・芸術・文化行政への資源配分が必要だと述べている。しかし、その帰属意識は国民の感情に訴えることによって形成されるわけだ。民族よりも次元の高い国家という概念への帰属意識を持つことによって、ケベックの分離主義と英系カナダの独善を抑制し、より一体化した国家を形成しようとしたのだな。2012/05/23