内容説明
戦後(西)ドイツで社会研究所を再建し、新たな真理・学問政治を展開しようとしたホルクハイマーとアドルノは、二つの異なる潮流と対決することになった。一つは、ナチス以前の人文主義的な教養主義を復活させ、大学を再び象牙の塔にしようとする潮流、もう一つは、社会科学から「批判」や「解釈」といった要素を取り除き、個別分野ごとに専門化していこうとする実証主義的潮流である。ホルクハイマーのフランクフルト大学学長としての言説戦略と、ドイツ社会学会内での“実証主義論争”を軸にして、批判理論をドイツ社会に定着させようとした初期フランクフルト学派の基本戦略を再構成する。
目次
第1部 自己指導と指導(亡命からの帰還;ドイツの大学の自己教育;大学と合理的社会(理性的社会))
第2部 社会学的な知識人(ドイツ社会学会における学問理解をめぐる闘争について)
著者等紹介
仲正昌樹[ナカマサマサキ]
金沢大学法学類教授。政治思想史
安井正寛[ヤスイマサヒロ]
東京大学総合文化研究科超域文化科学専攻博士課程。ドイツ近・現代哲学
松島裕一[マツシマユウイチ]
摂南大学法学部助教。法哲学・法思想史
田中均[タナカヒトシ]
山口大学人文学部講師。美学
松井賢太郎[マツイケンタロウ]
東京理科大学非常勤講師哲学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。