内容説明
ネオ・リベラリズム時代のいま、社会は希望の公正な分配をどうなしとげるべきか。白豪主義から多文化主義国家へ移行したオーストラリアでの、移民、先住民、難民という存在と国民国家との間の倫理的帰属の問題と、中東、西洋、アジアの状況とも関連した、希望の貧困化という世界的課題を浮かび上がらせる。現代世界を“精神分析”するユニークな社会文明論。
目次
第1章 超越的資本主義とパラノイア・ナショナリズムの起源
第2章 憂慮することについて―よく管理されたナショナルな抱擁という、失われた技術
第3章 境界性障害/境界における秩序―パラノイア・ナショナリズムの想像界
第4章 戦時社会
第5章 穢れた記憶―オーストラリアにおける移民と植民地責任
第6章 グローバル多文化主義の階級的美学
第7章 説明嫌悪/同質性嫌悪―「そのときがくれば、わたしたちはみんなハマスになるのです」
第8章 生の政治経済学に向けて
第9章 結論的寓話―思いやりの贈り物、あるいは横断歩道での倫理
著者等紹介
ハージ,ガッサン[ハージ,ガッサン][Hage,Ghassan]
シドニー大学人類学科准教授。1957年ベイルート生まれ。1976年オーストラリアに移住。1988年マックォーリー大学博士号取得。1994年からシドニー大学に在職。社会科学高等研究院(パリ)、アメリカ大学(ベイルート)の客員研究員を兼職。専攻は精神分析人類学
塩原良和[シオバラヨシカズ]
東京外国語大学外国語学部准教授。1973年埼玉県生まれ。慶応義塾大学大学院社会学研究科後期博士課程単位取得退学(2003年3月)。社会学博士(2004年12月)。主な研究領域は、社会学・国際社会学、オーストラリア地域研究、多文化主義・エスニシティ・ナショナリズム論、在豪アジア系移民コミュニティ調査(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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