出版社内容情報
停電を通して、電気と社会の関係を読み解く歴史書
本書は、アメリカにおける「停電」の事例を示しながら、人々と電気・電力網の関係を考察した歴史書です。
1930年代から電気が日常生活の一部になると、大規模な停電が発生するようになりました。停電は、単に電力の供給停止だけではなく、社会的な混乱、軍事的戦略、ネットワーク都市の危機、工業技術システムの欠陥、経済的、社会的政策の不備といったさまざまな角度から理解すべき問題です。本書では、アメリカの停電の歴史を時系列で示しつつ、人文科学や社会科学の観点から、人々の動向や原因、背景などを考察し、アメリカ社会の歴史を読み解いていきます。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Akiro OUED
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核兵器配備網は、相互確証破壊を共通認識とした。米国の電力送電網は、大規模停電による社会の破壊を共通認識とするに至っていない。が、すでに米国人は、大規模停電か自主停電かの二者択一を迫られている。はて、米国社会の経済格差拡大は、自主停電の準備かもね。夏の温いビールでも人は死ぬけど。2020/09/01
2n2n
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どんなに電力システムを万全に整備したつもりでも、停電の可能性を完全に排除することはできない。電化した文明のもとでは、社会は停電と共存しなければならない。停電とは単なる技術的トラブルには留まらず、それは文明の停止をもたらす社会現象である。本書は20世紀以降のアメリカの主要な大停電を、社会現象として解説・分析したもの。停電という現象の社会的な意味、および停電時にそこで起きたことは、その時代時代で大きく変遷している。2021/06/26
ぞだぐぁ
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ブラックアウトが分かりにくかったら、アメリカの消灯・停電史あたりと考えておくとよい。電力網が作られてWWⅡ時の空襲対策から、配電のための予算がケチられたことによる事故。そして計画停電とアメリカの停電にまつわる事件や経緯などが書かれている。下に用語が書かれており、非常に読み易い。2020/03/26