内容説明
著者はここ二十数年来、法政大学沖縄文化研究所にかかわり、別の大学では永年、沖縄史を講じた。その間、南西諸島の各地を踏査し、また台湾や中国・東南アジアの各地を訪ねた。ここに収めた論稿は、その踏査報告の一端である。ただし、ここでは島々で口づてに語られている説話と、その説話を伝承させた各島の集落社会を紹介することに主眼をおいている。冒頭に、かつて筆者が二年ほど居住したことのあるシマの民俗誌を掲げ、琉球諸島の基本的な村落構造や信仰体系などの一事例を示している。
目次
古層のムラの民俗誌―異郷から原郷の発見へ
薩南諸島の疫病と琉歌―疱瘡と呪
徳之島の伝説と昔話
南島の霊洞文化と太陽信仰
渡名喜島の実話・伝説・昔話
波照間島出身の英傑と黒人・渡海伝承
西表島・祖納の豪族伝承
与那国島の伝説とその背景
失われた集落・浦添小湾の民話
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- 和書
- 記憶のなかに 講談社文庫