目次
1 物語の神話的思惟(末摘花物語の神話的幻想;トライアッドの中の小童と異常愛の神話性)
2 物語の表現機構と象徴性(「ことば」が拓く空間の多様性;源氏物語の「状況と表現」;儀礼の象徴性と物語空間;源氏物語の表現機構)
3 物語の表現契機と展開の装置(王様の耳はロバの耳;悪と犯しと崇りと死と;帝王の「犯し」)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
うえ
7
「古代人の他界観には、暗黒の常夜と光明の常世という二つの観念が内包され、混融していた。他界にすみ、時あって人間界に訪れる生類もまた、闇と光、悪と善、醜と美、不幸と幸福ー等々の両義性をもち、それを人間界にもたらした。他界霊に向きあう人間の畏敬・畏怖の感情は、実在する動物やそれの空想化・誇張および海外異種族との交渉などによって、他界霊の形姿を異体・醜悪なものと想像し、かつ、その観念を固定…一方、怖そろしげな存在は人間界をそこなう邪悪を追放してくれるという期待を信頼につなげて、人間に近い来訪者を育んできていた」2019/01/25