内容説明
王朝貴族は宮廷行事に精通することを自らの資格として、典雅華麗を極めた世界を形成していた。そんな世界の最高峰に定置する文学が源氏物語である。紫式部は宮廷行事・遊宴を描き、絢爛たる彩りを表出すると共に、究極として光源氏の聖性と比類なき栄耀を物語る。多くの祭祀資料によって写実化しつつ、ユニークな源氏論を展開する。
目次
1 賀茂神の信仰―源氏物語との連関を軸として
2 藤裏葉の巻にみる賀茂神の信仰
3 紫上と朝顔斎院―賀茂神に関わる聖女として
4 朝顔の周辺と斎院御禊のこと
5 男踏歌考―中国・日本そして源氏物語における
6 踏歌の波及―阿蘇神社の場合
7 宮廷行事・白馬の展開―源氏物語の世界へ
8 源氏物語と住吉信仰
9 源氏物語などにみる節供
10 源氏物語研究の展開―祭祀の庭から