内容説明
山のあなた、海のかなたに求める「幸いの国」とは―。王朝びとの魂の原郷であった浄土、楽土の世界を探る。
目次
1 異郷意識の展開(異郷意識の始原;王朝びとの河川観―物語文学を中心にして;叙景文学の発生―山岳信仰断章;物語文学と伝説;伊勢物語の宴席;古今集「伊勢歌」の背景)
2 源氏物語の精神史ノート(和歌から物語へ;源氏物語の作為と伝承―光源氏の色好みを中心にして;源氏物語の絵―影・絵・形・人形をめぐって;“思ひあがる”美徳のかげに―源氏物語の巻頭の読み)
感想・レビュー
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うえ
9
「熊野の那智勝浦の補陀洛山寺、土佐国足摺崎、熊本県玉名市などに認められる補陀洛渡海の習俗や、大阪の天王寺の日想観往生といわれる入水信仰も、衆人環視のなか渡海上人や信者が、生きながらにして海上はるか彼方の観音浄土をもとめて舟出したり、入水したりしたのであり、これらの習俗は、谷川健一氏が説かれるように「常世の観念の延長上におこなわれた行為」であった。…『百錬抄』第八には平安時代末の安元二年八月十五百の記事に、「上人十一人入水。其中称蓮華浄上人者為発起」とあり、十一人の僧侶が、京都の桂川に集団入水をしている」2020/03/14
楓
0
自分たちの世界とは違う場所に抱く感覚を、昔々の人はもっと鋭く、重く持っていたのかなぁ。今は昔に比べればわりとテリトリー広くて軽めかな。字が大きめで思ってたより読みやすかった。2012/10/25