内容説明
南京の戦場に輝いた良心の記録。自分のいのちの危険をかえりみず、日本軍によって占領された南京にとどまり、すさまじい性暴力の嵐から一万人以上の中国人女性を救ったアメリカ人教師がいた。「日本の良識ある人がこの事実を知ってくれたら…」と、狂気の支配する戦場で書きつづられた胸をうつ良心の証言。
目次
ミニー・ヴォートリンの生いたち―中国伝道への道
近づく戦火を前に―南京事件まで
『日記』
うちつづく悲劇―南京安全区解消までの日記から
希望と絶望―その後のヴォートリン
『ミニー・ヴォートリンの日記』について
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
臓物ちゃん
7
浮世博史『もう一つ上の日本史』で紹介されていた、南京の虐殺事件に遭遇したアメリカ人女子校教師の書記。そういや山本弘『神は沈黙せず』でも取り上げられてたなと思い読む。虐殺は無論のこと、ガキぶん殴って自転車盗んだり、避難所に「慰安所作りたいからそっちからいいの見繕ってくんない?」と言ってきたりと、無計画に戦端を開いたが故の日本軍ぐだぐだ最悪っぷりがしっかり記録されていて、やはり虐殺は組織の残虐さではなく無能さによって引き起こされるのだと思い知らされる。著者が鬱病で自殺したのもわかる凄絶な臨場感を持った一冊。2022/02/03