内容説明
戦前は大元帥として強大な軍と国民の上に君臨し、戦後は「象徴」として仲むつまじい皇室の顔としてふるまった裕仁天皇。本書は、すさまじい「天皇報道」洪水の中で、冷静に事態の本質を見すえる視点を提供する。
目次
「象徴天皇制を考える歴史家の集い」の記録
天皇の戦争責任と現代史の課題(藤原彰)
東京裁判と天皇(粟屋憲太郎)
代替り儀式のもつ意味について(中島三千男)
憲法学からみたXデーとその後(笹川紀勝)
「集い」出席者の発言
沖縄県民と天皇(安仁屋政昭)
韓国マスコミのみたヒロヒト症候群(石坂浩一)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ハンギ
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天皇制、特に現在の象徴天皇制とは一体なんだろう、と議論した主に史学研究者によるシンポジウムの記録です。1988年にまとめられたもので、昭和天皇がなくなるあたりの頃の自粛問題についても載っており、最近で言うと東日本大震災が記憶に残っていますが、その頃でもかなり自粛ムードは強かったそうですね。天皇の国事行為は宗教的な儀式ではないのか、戦争責任はどうなのか、憲法からみて現在の憲法と明治憲法はどう違うのかなどなど。最新ではありませんが、考えるヒントにはなると思います。沖縄、韓国と天皇との関係も出ていました。2011/12/02