内容説明
一見単純に見えながら、実は多様で奥深い「平等」という難問。「矛盾」の中に進展する平等論を根源的に再検討。真の平等を実現する新たな平等論構築のための理論的枠組みを提示する。
目次
序章 平等はなぜ非難されるのか?
第1章 平等論の深化・拡大―「不平等と一体の平等」論の歴史
第2章 悪平等はなぜ生まれたか―伝統的平等論の意義と問題点
第3章 新たな能力論的平等論と新たな機会平等論
第4章 新たな平等論の展開へ―新現代平等論の構築のために
終章 平等万歳!
著者等紹介
竹内章郎[タケウチアキロウ]
1954年神戸市生まれ。岐阜県立岐阜高等学校卒業、一橋大学社会学部卒業。一橋大学大学院社会学研究科博士課程単位修得退学。岐阜大学教養部講師・助教授を経て、岐阜大学地域科学部教授、社会福祉法人いぶき福祉会理事(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ゆう。
25
再読です。新自由主義が嫌う平等という概念や同一と平等の関係など、哲学的に深く学べました。新自由主義は、自らが認める市場競争を成り立たせるための形式的な機会の平等は認めます。しかし、その結果は自己責任であり、真の意味で機会を平等にすることも望みません。そういうなかで、その人がその人らしく生きるための機会の平等のあり方や結果の平等との関係なども学べました。2018/06/10
ヘンリー八世が馬上試合で死んだことは内緒
0
能力の平等は同一性を意味しているわけではない。そもそも、能力そのものが共同性を持っているのだ。 新自由主義の側から「平等は同一化につながる」という批判が出ているが、逆に非平等こそ同一化に繋がるのではないか。現代の世界で市場と関係しないものが「役立たず」のスティグマを課せられるのを見てそう思う。2013/06/15
YASU
0
平等論に関するこれまでの議論を網羅的に整理したうえで,「能力の共同性」という概念を用いて”新たな”平等論を論じている.結局のところ「私の業績は他のみなさんのおかげ」という,これまでにもよく耳にしてきた社交辞令的言説と,どうちがうのか,もう少し厳密な議論が必要なのではないか.2020/02/11