出版社内容情報
AVは、現実を著しく歪めたメディアであり、そうした情報に無防備に接触することは、極めて危険である。本書は、膨大な映像を詳細かつ批判的に検証し、その映像的本質、AVリテラシーの必要を説く。
内容説明
最終的な被害は女性が受ける。膨大な映像を詳細に分析した批判的検証。
目次
序章 AVが醸成する神話(「女性は性交によって快感を得、射精によってオーガズムを得る」;「女性は指や器具を腟に出し入れさせると快感を得、オーガズムを得る」 ほか)
第2章 AVが醸成するレイプ神話(「女性はレイプによって快感を得る」―関連して、レイプAVの学習効果について;「女性はレイプを欲する」 ほか)
第3章 AVが醸成する女性(男性)神話(「女性はセックスの対象であってそれ以上ではない」―関連して、「近親相姦」ものの問題性について;「女性は支配すべき存在である」 ほか)
第4章 AV神話からの自由―AVリテラシー獲得のすすめ(AVリテラシー獲得のために1―AV業界の実態;AVリテラシー獲得のために2―AVが招くもの ほか)
著者等紹介
杉田聡[スギタサトシ]
1953年生、帯広畜産大学教授(哲学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
katoyann
25
アダルトビデオの学習効果について警鐘を鳴らした本である。アダルトビデオにはレイプや痴漢などの性暴力を肯定的に描く作品が多く、視聴者が影響を受けて実際に犯行に及ぶケースがある。ここまでは通説だが、それより恐ろしいのは女性のレイプ被害に対し、視聴者群は共感を喪失していくという実態である。 また、AVを視聴し続けるうちに、女性を男性の性欲を充たすモノと見做すようになり、人格として見る可能性を狭くする(152頁)という。つまり、女性の価値を性的存在に貶め、それ以外に価値を見出さない差別的感情を育てる。2021/12/05
やなぎ
3
男性の哲学者である杉田聡先生が、アダルトビデオについて本気で考察した、良書。「AVは真似てはだめ」とはよく言われるけれど、ではどう間違っているのか、ここまで丁寧に書いたものは他で読んだことがない。AVと現実の性暴力のつながり、AVが醸造する性暴力被害を軽視する風潮、AVの描き方が男女が対等に生きることを妨げていること。サイトやインターネット広告で、低年齢でAVに接してしまうことが可能な今、AV規制ではなく「女性もAVを」という方向で問題が解決されたかのような風潮のある今、皆で考えていかなければならない。2021/06/25
すのう
3
例えばレイプに肯定的なものをずっと見ているとそう思えてしまうとか、実際にレイプ犯の4人に1人は相手も気持ちいいと思ってるとか、知らないことだらけだった。性教育をavに求めてはだめだし、倫理的な規制が必要だと強く感じた。とりあえずバカが真似するからavでもゴムはつけてほしい。2013/01/25
どんぐり
2
まじめにアダルトビデオが醸成する神話について言及した本。著者は当たり前のように目くじらを立てて論じているので、その分つまらなさが際立っている。2011/08/12
左京
2
私はこれを読むまでAV神話を信じていたのだ!自分はなんと愚かで孤立しているのだろう^^男性も女性も楽しめるAVなんていい発想だと思います^^ふたりエッチやananの付録をまあいい線いってると書いてはりました^^2009/12/10
-
- 和書
- 幕藩制下陸上交通の研究