出版社内容情報
若者のあいだで増えるニートやフリーター。本当にいまの若者はやる気がないのだろうか?他人と断絶し競争させられる仕事のくだらなさから脱出し、豊かに暮らす権利を熱く語りかける。
内容説明
くだらない働きかた、くだらない働かされかた、くだらない人生からの訣別宣言。男の家事は人間解放につながる。
目次
はじめに 退屈死の時代
第1章 のんびり暮らす権利
第2章 仕事のくだらなさを見つめる
第3章 男の戦争業、女の売春業
第4章 男の家事は人間解放につながる
第5章 自由な人生とは
著者等紹介
佐藤和夫[サトウカズオ]
1948年生まれ。千葉大学教育学部教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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katoyann
13
ハンナ・アーレントの翻訳でも有名な哲学者が労働の価値を根本的に問うた論稿である。現在の仕事は企業に命令された形で行われる金儲けの手段であり、そこに創造性はないと断言する。言い換えれば企業の利潤追求のために上から管理されて行う業務が仕事であり、このような仕事に長時間拘束されていくと、本来は協同的なコミュニケーションが成り立っていた仕事からの疎外が生じ、市場経済のニーズに絡め取られて生産と消費のサイクルに組み込まれて、ゆとりのある生活ができなくなるという。男性の問題にも言及があり、勉強になった。2025/03/31
きなこ
6
数年前に買ったが今一つピンと来なくてしまっていた本。再読したらとてもおもしろかった。「労働」という観点から、さまざまなことを考える。特にジェンダー的な観点から戦争と売春については大変興味深く読んだ。著者が語る理想の未来が理想的かどうかは人によるだろうけど。2020/07/21
ゆう。
3
この本の題名に興味をそそられて購入しました。儲け優先で競争的な労働を見直そうという趣旨で貫かれています。今の労働は企業に奉仕するだけのものであり、人間性と乖離していると指摘されています。そのことに大きな異論はないのですが、それではどうすればいいのかという著者の呼びかけは、カネのためではない労働という視点をもとうというところにとどまります。また家事労働に人間性の獲得の可能性を見出していますが、しかし家庭内のジェンダー差別を超えた家事労働という視点にとどまっています。なんとなく消化不良に終わってしまいました。2013/12/28