内容説明
かつてイギリスの植民地であったインドは、独立運動の結果、第二次大戦後、インドとパキスタンとして分離独立を勝ち取り、世俗的・民主主義国家の理想を掲げ旅立つが、封建的大地主制度、カースト制度、女性への抑圧的伝統、ヒンドゥー教過激派とイスラム過激派との宗派闘争等、インドの歴史の負の遺産との矛盾に悩みつつ前進し、経済の自由化に舵を切ることによってGDP7位の地位を築いて来た。本書は、そのようなインドの近現代の矛盾と葛藤を生きる人々の姿を描いたインド英語小説の傑作を論じたものである。
目次
アメリカ黒人文学研究からインド文学研究への道程
第1部 イギリス植民地時代(アミタヴ・ゴーシュの『煙の河』論―インド人阿片貿易商が視たイギリス人の広東阿片貿易;アミタヴ・ゴーシュの『ガラスの宮殿』論―英領インド軍将校アルジャンの反乱)
第2部 独立期から現代へ(ヴィクラム・セートの『婿探し』論―世界最大の民主主義国家としてのインドの旅立ちと苦悩;ニール・ムカジーの『他者の人生』論―インド独立後の農地改革の挫折とナクサライト運動;アルンダティ・ロイの『小さき者たちの神』論―インドのポストコロニアル期における前近代と近代の相克;ロヒントン・ミストリーの『美しきバランス』論―インド国民形成のナラティブ;ヴィクラム・チャーンドラの『聖なるゲーム』論―ムンバイの裏社会と宗派闘争)
著者等紹介
加藤恒彦[カトウツネヒコ]
立命館大学名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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