著者等紹介
福岡忠雄[フクオカタダオ]
京都大学大学院修士課程修了。現在、関西学院大学文学部教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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のっち♬
36
「人間の頭の中のアイデアというものは実に弾性に富んでいて、実際の大きさだと呼べるような一定の測定値を持っていない」思慮とは何か?それは幸福への手段だ、慎重に扱わねばならぬ。急がば回れ!しかしそんな余裕もない!ヒロインをめぐって次々と繰り出される窮余の策の数々。その独特で非現実的な設定にも関わらず、ヴィクトリア朝の公序良俗に殴り込みをかけるのような荒唐無稽な展開や切迫感のある雰囲気が読者を惹きつける。初期ならではの錯綜した構成で、これがデビュー作とは流石。土壇場での成就のためには一縷の希望を捨てないことだ。2018/07/22