感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ケイ
136
行ったことがある好きな場所が舞台だと、それだけで思い入れが出来てしまう。しかも舞台がニューオリンズでマルディグラとくればもう反則みたいなもの。戦争に赴いて傷付いた身体。回復して、無為で楽な生活を送っているようで、その無感覚さはやはりつらい経験が底辺にあるからだろうか。しかし、全体のトーンが優しいのは、彼の従兄妹を描写する視線がさりげなく愛に溢れているように思えたから。そして、私はケイトをすごく好きだなと思った。今まで読んできた色んな本の主人公の中でも最も好きな女性の一人。訳は酷かったな。2017/11/16
NAO
54
ケイトやロニーが死の不安に満ちた現実を見ているのに対して、ほとんどの人々は現実に目を向けようともせず、自分に都合のいいことだけを見、虚構の世界を作り上げている。ビンクスが映画好きなのは、それを暗示している。死をあまりにも意識している自分が他の人々とは違うという疎外感に苦しむケイトは、『ノルウェイの森』の直子に似ている。ケイトをもっと病的にしたのが直子なのだと思った。2017/04/07