内容説明
収録短編数最多で、未だまとまって訳されたことのなかったハーディの第4番目の短編集全編の邦訳実現。収録されている「ただの幕間劇」は本邦初訳。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ソングライン
19
恋愛感情は決して長続きしない、壊れやすい儚い情熱なのか、結婚には熱情よりも気性、身分の一致の方が大切なのか、そんな主題を見事な構成と先が読めない展開で語られ、物語に引き込まれる短編集です。死んだと思われた夫の帰還が妻と新たな恋人の関係を変化させていく「主を待つ晩餐」、財力のある年上の男性との結婚を機に帰郷する女性に訪れる新たな求婚がもたらす運命をサスペンス調に描く「ただの幕間劇」がお気に入りです。2021/01/17
きりぱい
14
結婚という運命について翻弄される人々の物語。とりわけよかったのは長めの2編。「アリシアの日記」は、妹の婚約が及ぼす姉の心境の移り変わり。結局は綺麗事にしか思えないアリシアの決断が思いもよらない結果に。「乳しぼり娘のアヴァンチュール」は、こんな題なのに、一夜の奇妙なシンデレラ体験が素敵な物語。優雅な世界を見て結婚への心境が揺れる娘と、その元凶となる紳士とのかかわり合いが引き起こす波紋が面白い。「変わりはてた男」「主を待つ晩餐」「騎兵登場」も面白い。運命のタイミングでもろくも崩れ去るひとつの幸せに悲哀。2012/07/27
warimachi
0
それにしてもこの表紙の「結局アイツ、卒業まで一度も来なかったよな」的扱いはなんとかならんか。2012/10/05