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内容説明
四姉妹と妻を残し従軍牧師として北軍に加わったマーチは、過酷な戦闘の合間に立ち寄ったヴァージニア州のとある農園を見て、以前ここに来たことがあるのに気づいた。20年前の春、若き行商人として逗留したことがあり、それは美しく気高い黒人女性グレイスとの出会いであり、また人種差別の残酷さを目の当たりにした時でもあった…不朽の名作を下敷きに豊かな想像力で描きあげた歴史小説の比類ない傑作。『古書の来歴』の著者のピューリッツァー賞受賞作。
著者等紹介
ブルックス,ジェラルディン[ブルックス,ジェラルディン][Brooks,Geraldine]
オーストラリア生まれ。シドニー大学卒業後、シドニーの新聞社で環境問題などを担当。奨学金を得て、コロンビア大学に留学、並行してウォールストリート・ジャーナル紙でボスニアなどの特派員として活躍、その経験をもとに2冊のノンフィクションを執筆する。『灰色の季節をこえて』で小説デビュー、2作目の『マーチ家の父―もうひとつの若草物語』でフィクション部門のピューリッツァー賞を受賞した。3作目の『古書の来歴』もベストセラーとなり、20カ国語以上に翻訳される。米歴史小説界の気鋭作家
高山真由美[タカヤママユミ]
東京生まれ。青山学院大学文学部卒業。日本大学大学院文学研究科修士課程修了。会社員、教員を経て翻訳者に(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
紅はこべ
92
『サルガッソーの広い海』がお好きな方には向いている。『若草物語』の4姉妹の父の南北戦争従軍中の体験が、若き日の回想と共に語られる。独身の行商人時代、妻となる女性との出会い、努力して得た財産を失った過程。北部人だからといって、黒人差別がないとは限らない。『若草物語』では理想的な両親として描かれるマーチ夫妻の不完全にすぎる内面。特にマーチ夫人の激情には驚かされた。ジョーの激情は母親譲り。ベスの重病を報せる電報は夫人にとって渡りに船だったのかも。この夫婦の明らかになった断絶。これから先の砂を噛むような人生。2017/09/22
Ribes triste
17
若草物語でマーチ家のお父さんが南北戦争で従軍牧師として北軍に随行していたころの物語。南北戦争の過酷な姿と当時の世相を知るうえで面白い本だと思う。でもなあ。お父さんとお母さんの関係性が、読んでいてちょっと辛かった。若草物語が好きな人には、あまりお勧めしない。2022/03/12
Mana
5
最近「風と共に去りぬ」を読んだので再読。前回は単行本で読んだけど今回は解説を期待して文庫で読了。前に読んでから黒人に関する本をずいぶん読んだからか、以前は読み流していた諸々が引っかかるように読んで読み終えるのに時間がかかってしまった。でもマーチ父への不快感だけは変わらず。グレイスのイメージが「ある奴隷少女に起こった出来事」のハリエット・アン・ジェイコブスなのは納得。2018/04/29
マッピー
5
結婚する前のマーチ家の父は牧師ではなかった。 若かりし頃の彼がどういう人生を送り、なぜ牧師として戦地に赴くことになったのか。 マーチ家の父と母がどのように知り合い、どのような結婚生活をおくっていたのか。 赤裸々に語られる彼らの過去は、ちょっと想像を絶するものだった。 でも、うざいわ、彼ら。 一番たちが悪いのは自分の善意を疑わない人だと思う。 だから最後に迎える痛烈なしっぺ返し。 彼らのその後の人生は、家庭生活は、いったいどのようなものだったのか。 続編を確認してみたいと思った。 2016/04/24
macky
4
☆☆☆☆ いわゆるルイーザ・メイ・オルコット『若草物語』の読み替え作品。登場人物のひとり、グレイス・クレメントのキャラクターのベースがハリエット・ジェイコブスの自伝『ある奴隷少女に起こった出来事』にあるというのはなかなか興味深い。2018/05/11