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内容説明
飢民や水災被害者を救済した功で郭山郡守となった林尚沃(イム・サンオク)は、若く美しい官妓に惹かれていく。しかしながら彼女の出生には秘密が存在していた。一方、儒教や仏教では満たされない民衆は天主教(カトリック信仰)に救いを求め、迫害と殉教の波が彼の身辺にもおよんだ。晩年、その富のすべてを民のためになげうち、詩酒で余生を送った実在の大商人の波瀾万丈の生涯に、幕が下りる。
著者等紹介
崔仁浩[チェイノ]
1945年ソウル生まれ。延世大学英文科卒業。1963年に短篇作品で「韓国日報」新春文芸に入選。67年「朝鮮日報」新春文芸に入選し、文壇デビュー。その後、72年に現代文芸賞、82年李箱文学賞、99年にカトリック文学賞を受賞。現代の韓国を代表する作家
青木謙介[アオキケンスケ]
1959年11月大阪生まれ。高校卒業後、渡韓。延世大学に学ぶ。激動の80~90年代、映画を中心とした多くの韓国の文化人との交流を持ちながら過ごす。富山大学大学院東洋文化専攻中退。その後、映画の配給、テレビ番組及びビデオソフト制作、映画の翻訳、映画祭などのコーディネート等に携わる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
再び読書
32
ドラマと違い、かなりシリアスな哲学的な巻でした。後書きを読むと作家として著名な人みたいなので、単にノベライズ的な期待を、持って読むと肩透かしをくう。空崇和尚や、松伊の壮絶な生き方や、死に方に戸惑いを感じる。また、ある意味二人を上回る生き様をする林尚沃にも、感動というより理解が出来ない。ドラマがかなり面白かっただけに、ノベライズも出せば、良い様な気がする。それだけ、朝鮮時代の大富豪林尚沃の存在が大きかったという意味で、勉強になったが、少し複雑でした。2016/05/03
あひるぷかこ
2
悟りとは。韓国の実在の人物・林尚沃がたどり着いた境地。現在所有しているものは、自分の物ではない。全て手放し、身軽な状態で死を迎える心情が鮮明に描かれています。上・中・下巻とも、生きていく上で大切なこと、普段気付けないことを沢山教えてくれました。新書上・下巻との違いは、文庫版では現代の話が省かれているとのこと。大変読みやすい訳でした。2013/08/31