内容説明
第2次世界大戦時、ナチス・ドイツの手から逃れ、森の中に潜伏するユダヤ人兄弟がいた―ビエルスキ兄弟。ナチスによって両親や弟たちを殺された悲しみを乗り越え、ナチスへの服従を拒み、ゲットーから同胞を助け出した彼らは、いつしか1200人ものユダヤ人同志による最大グループに成長していた。ヒトラー率いるナチス占領下のベラルーシで同胞を助けるために活躍した兄弟の激動の物語。
目次
戦前
ソ連軍がやって来た
ドイツ軍がやって来た
ビエルスキ隊の誕生
ゲットーからの逃亡
同志ネットワーク
救出か攻撃か
敵からの逃亡
“ビッグハント”
森のコミュニティ結成
新体制の誕生
女たちの運命
秩序維持
ビエルスキ隊の解散
ビエルスキ兄弟の功績
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
蘭奢待
34
第二次世界大戦時のポーランド、ベラルーシ。ドイツ軍のユダヤ人迫害が開始されようとするころ、それを嫌い権力と戦ったユダヤ人がいた。ゲットーから逃げてくる全ての人を迎え入れ、ドイツ軍の追っ手から逃げ切り、生活の工夫をし、森の中で暮らす。統制を乱す人物は容赦なく峻烈な制裁を加え、またドイツ軍への協力者にたいしても容赦しない。ロシアのパルチザンと手を組み、1200名ものユダヤ人を引率し命を助けた。 2019/02/11
つちのこ
31
本書より先に上梓されたピーター・ダフィ『ビエルスキ・ブラザース』に内容は酷似している。共通の資料や生存者の証言をもとに同一テーマで書かれたので仕方がない面もあるが、まったく同じフレーズが出てくるとちょっとばかし興ざめ。本書は同名映画の原作になっているが、ユダヤ難民たちの森での暮らしぶりやコミュニティの秩序維持については前著よりも詳しい。逆に、ロシア軍による解放後の顛末や兄弟たちのその後の半生の記述は前著が勝っている。比較しながら2冊を読み、映画を観るという、何とも贅沢な読書体験をさせてもらったことに感謝。2021/12/30
Nobuko Hashimoto
30
先日観た映画「ディファイアンス」、1941年にドイツに侵攻されたベラルーシで、ビエルスキ兄弟率いるユダヤの人びとが迫害を逃れて森に潜み、共同体(パルチザン部隊)をつくって生き延びたという話の原作。事実は小説より奇なり。人命第一、弱者を見捨てないというリーダーの固い意志が、老人、女性、子どもが大半の1200人のコミュニティを守った。映画はかなり設定が変えられている。そのあたり中心にブログにまとめておきました。https://chekosan.exblog.jp/29954423/2020/03/09
彩也
5
第二次大戦中のベラルーシ。迫害を逃れて森に逃げ込んだビエルスキ兄弟。彼らが築いたコミュニティは、「20人のドイツ兵を殺すことより1人のユダヤ人の命を救う方が大切」というモットーの下で、足手まといになる女性子供老人も受け入れ、解放時に1200人にもなった。同名映画の原作。さすがに映画とは異なる部分もあるが、映画は中心軸は外していないと思った。記述の多くが生存者からのインタビューで構成され、ビエルスキ兄弟の功績(特にリーダーであったトゥヴィア)だけでなく、他の一般構成員の暮らしや苦境についても触れている。2011/05/19
Arte
3
現在のベラルーシの森の中で、パルチザンとしてナチス崩壊まで生き抜いたユダヤ人部隊の話。逃げてきたユダヤ人はまるっと受け入れるというリーダーの方針により、半分以上が女子供老人で総勢1200人。食糧は周囲の村に遠征して強奪し分配。技術者達がいたため、鍛冶屋、パン工場、皮なめし工場等ができて、遠方から注文まで引き受け、パルチザンはソ連の支配下にあって、内務人民委員まで派遣されていたにも関わらず、リーダーの支配権に干渉することはなかった、ということで、厳しい状況にしろ、どこか牧歌的な感じのコミニュティな印象。2015/04/26