内容説明
子どもという商品をめぐって拡大を続ける次世代生殖ビジネス。その最前線で、いま何が起きているのか?生命を売買する新市場の実態。
目次
序章 愛の産物から技術の産物へ―赤ん坊取引の現実
第1章 受胎を求めて―不妊治療の歴史と変遷
第2章 さまざまなプレーヤー―現代の妊娠市場の仕組み
第3章 子宮を貸す女性たち―代理出産市場の出現
第4章 完璧な人間の追求―着床前遺伝子診断とデザイナー・ベビー
第5章 奇行か、救済か―ヒトクローンの作成
第6章 家族を作り出す―養子縁組市場の歴史と現状
第7章 より良い未来のために―赤ん坊市場のこれから
著者等紹介
スパー,デボラ・L.[スパー,デボラL.][Spar,Debora L.]
ハーバード・ビジネススクール経営管理学教授。民間ビジネスと政府との関係性、国際商取引をめぐる政治環境を専門とする
椎野淳[シイノジュン]
東京生まれ。上智大学外国語学部英語学科卒業。翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Mana
2
不妊治療、養子、代理母出産etcと、さまざまなところに商業主義が入ってることを知る。加熱した不妊治療に懸念は持っていても養子縁組には良い印象を持っていたのだけれど、本書では養子も金で売り買いされる様が恐ろしく、甘く考えていたと反省した。 難しい問題だけど、国が主体的に規制をしなければコントロールできる人は他にいないと思う。市場原理に任せることは恐ろしすぎる。2022/09/18
あき
2
本書では「赤ちゃん市場」の実態がただ淡々と述べられているだけで、著者による道徳的な押し付けは一切ない。「市場を放置するのはやめましょう。実態をよく知ることで必要な枠組みを整備しましょう」というのが著者の方向性だが、実態を知れば知るほど答えは出せない。 自分の中の倫理がどのラインにあるのか、試されているような気がした。2009/10/24
takao
1
ふむ2024/11/10
みつか
1
不妊治療の世界では今や車のパーツみたいに、世界的な流通で精子・卵子・胚・出産母体となる子宮・ホルモンなどが売買されて、各国地域の合法のもと商売としてなりたっている。これってどう思う?っていう疑問符的な1冊。 正規市場以外のもっと闇ルートの実態報告があると厚みが増す気がしました。2019/04/27
BsBs
1
途中まではなんてことのない体外受精の話が続くのだが、代理母あたりから雲行きが怪しくなり、養子縁組まで来るとかなり面白くなってくる。言われてみると確かにそうなのだが、養子縁組と体外受精が(経済的にも倫理的にも)同軸に語ることができるというのは驚きだった。 最後、平等に資源を配分するときには、何を平等にすべきか決めなければならないという話が出てくる。これも見落としがちな部分だろう。実際自分もフェアプレー精神、つまり平等であることを旨としているが、これが何を基準にしているのかは当たり前すぎて答えられない。2018/07/21