内容説明
家事使用人のスケジュール、食事、賃金、役得など、いわゆる階下の世界の記録に留まらず、若きヴィクトリア女王の即位に歓喜する民衆、クリスマスの賑わい、鉄道の敷設工事、選挙、インフルエンザの蔓延、霧と煤煙など、人口集中の進むロンドンの社会事情を独特のユーモアを交えて描き出した、無名人ウィリアム・テイラーの日記。
目次
「紳士に仕える奉公人の日記」一月~十二月
補遺「屋根裏部屋の少年―ウィリアムの発見」
著者等紹介
子安雅博[コヤスマサヒロ]
1953年(昭和28年)千葉県東金市生まれ。千葉大学人文学部人文学科英文科卒業、セントラル・コネチカット州立大学修士修了(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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もけうに
1
普通に読み物として面白かった!ウィリアムさん文才ある、というか良いキャラしてるわ。主人に対する、仕事と割り切ったドライな視点が堪らなくおかしい。最後の方の「使用人は籠の中の鳥、自由がない。自由は最も重要。籠の中の小鳥よりスズメかヒバリでありたい」という記述に彼の考えがよく表れている。彼はこれを書くために長々と日記を書いたのではないか?後半になるにつれて、日付が飛び飛びで記述も短くなっていくのが、いかにも飽きてきた感があって笑える。ドロシー女史がウィリアムを「発見」する過程も、ミステリーのようで面白い。2014/06/13
brideshead
1
「ジーブス」好きな人は絶対に読むべき!主人に対する冷めた視線といい、端々にジーブスの片鱗を感じる。・・・けれど、なんだかんだ言ってもジーブスはやっぱり主人(バーティ)のこと好きなんだなぁと再確認した。2010/09/23
zawa
1
すごく面白かった。ヴィクトリア時代の家事使用人の生活を知るための貴重な資料でもあるが、ウィリアムのキャラがクールで慇懃無礼な執事のイメージにピッタリで読み物としても面白い。チップの金額に文句言ったり、上流社会を皮肉ったり、当時の生活や考え方がリアルによく伝わってきた。2010/08/20
のねこ
1
かなり突っ込みどころがあって面白い。客を追い返して満足したり嬢がでかけるのを厄介払いと言ったりと本心はこんなもんなのかなと思う。2010/07/17
madhatter
1
19世紀に溢れていた、家事使用人という「普通の人々」の生活を知る、生活史の史料としてもなかなか興味深い本。だが、一番面白かったのは、使用人が主人を見る、過剰な愛情も悪意も持たない、冷静な視点だった。例えば、お嬢様の外出を「厄介払い」と切って捨てる、幻想の介在しない感覚は非常にリアルだ。当時の使用人の標準的な考え方を示していて、こんなもんだろうと納得しつつも笑える。逆に彼の日記の発見の経緯は、小説的に面白い。なお、史料上確認されているのだから、これは「執事の日記」だろう。「従僕」と言われると違和感がある。2010/03/11
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