内容説明
「歴史」は神話化の果てに非神話化され、アレゴリーという文学様式も内部から密かに解体されてゆく。アメリカの過去にひたすら目を凝らした作家ナサニエル・ホーソーンを、その表現とモチーフから抉る。
目次
第1部 作家と表現(アレゴリー解体―「若いグッドマン・ブラウン」あるいは失われた自己の物語;毒/薬の寓話―「ラパチーニの娘」とその死をめぐって;交錯する視線―「僕の親戚モリヌー少佐」のストレンジャーたち)
第2部 作家と歴史(見せしめから矯正へ―『緋文字』の立ち上がる個人;進歩と衰退―「優しい少年」に見るホーソーンの歴史観;幸福の追求と荒野―辺境開拓物語としての「ロジャー・マルヴィンの埋葬」)
第3部 職業作家ホーソーン―歴史に辿る市場経済(無邪気な子供と資本主義―『おじいちゃんの椅子』と歴史をめぐって;屋敷は残った―『七破風の屋敷』における資本主義の精神とその行方)
著者等紹介
増永俊一[マスナガトシカズ]
1956年兵庫県神戸市生まれ。関西学院大学文学研究科博士課程後期課程単位取得満期退学。北陸学院短期大学、梅花女子大学を経て、現在、関西学院大学経済学部助教授
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