出版社内容情報
嘉子は、明治大学専門部女子部で学び、日本初の女性弁護士の一人となる。世間からも注目をされていたが、戦争に突入する時代に弁護士となった嘉子は、活躍の場を得られないまま終戦を迎える。戦争で全てを失った彼女に残されたのは、かつて学んだ法律の知識だけだった。多くの困難を乗り越え、念願の裁判官に就任した嘉子と彼女を慕う仲間たちは、苦境から抜け出せない人々を救うために、政治の力だけでは解決できない問題に向き合っていく。
内容説明
三淵(旧姓武藤)嘉子は明治大学法学部を卒業し、日本初の女性弁護士となるが、戦争ですべてを失うと、新たな思いを胸に差別のない司法を実践すべく裁判官になることを決意する。34歳で裁判官に就任後、アメリカで家庭裁判所を視察。帰国後は各地の家庭裁判所で社会的弱者に目を向け、精力的に活動した。―逞しくしなやかに生きた女性法曹の先駆者の生涯を描く。
著者等紹介
伊多波碧[イタバミドリ]
新潟県生まれ。信州大学卒業。2001年、作家デビュー。05年、文庫書き下ろし小説『紫陽花寺』を刊行。23年、「名残の飯」シリーズで第12回日本歴史時代作家協会賞シリーズ賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
サンダーバード@永遠の若者協会・怪鳥
111
(2024-64)【図書館本】女性初の弁護士、裁判所長となった法曹家三淵嘉子氏の生涯。NHKの朝ドラ「虎に翼」のモデルとなった方でもある。女は良妻賢母であれ。高等教育を受けて無駄に知識を付けると婚期が遅れ碌なことにならない。そう思われていた時代に男社会で活躍するには並大抵のことではできなかったであろう。彼女の努力も勿論であるが、あの時代に娘の特性を見極め、古い考えに囚われずこうした道に進むように勧めた彼女の父の影響も非常に大きいと思う。海外駐在経験も多かったからだろうなぁ。★★★+2024/05/11
あすなろ
101
言わずと知れた現在放映中のNHK朝の連ドラ主人公を取り上げた作品。戦前から戦後にかけ、司法界女性初という冠を多数手にされた三淵嘉子氏の一生を準える。準えると記したのは正にそのとおりの一冊であったから。ただ、扱っている内容の割に平易かつスムーズであり、適度な法の触れ方に留まる所は良いと思う。しかし、一方で正に連ドラの如く癖なく流れますね。そんな流れの中、彼女の仕事や資格に対する矜持が好きになりました。また、連ドラでも象徴的な仕事から来るテーラーメイドスーツ等に対する考え方も好き。サラッと癖なく読める一冊。2024/07/16
TATA
43
先日までの朝ドラ主人公だった女性弁護士さんの生涯を駆け足で。朝ドラを観ていた方は思い入れをもって読めると思いますが、観てなかった私には多分そのダイジェスト的なものなんだろうなと思いつつあっさりサクッと読了。時代の変化という意味では興味深く読めました。2024/10/30
アイシャ
41
あくまでもフィクションというスタイル。朝ドラで見ているので、ざくっとだいだいは知っている内容。三淵嘉子さんのような優秀な方が、もし裁判官の道に進めなかったとしたら、どんなに日本の社会にとってマイナスとなったことだろうか。1914年生まれの三淵さんの周りの友人は、女学校を出たらお嫁に行く、という風潮。でもそれは君には似合わないと、勉学の道を薦めたのが、彼女の父親。若い頃から海外赴任が多く、視野の広い方だったのだろう。それは本当に当時稀なことだったのだと思う。2024/09/21
ゆみのすけ
29
日本で女性初の弁護士、裁判所長となった女性が主人公。今の朝ドラ「虎に翼」のモデル。朝ドラは残念ながら見ていないので、こちらでお勉強。今は女性の弁護士、裁判官は珍しくはないが、それはこの方が先人を切って道を切り拓いてくれたおかげ。負けず嫌いで、懸命で、一途で、しなやかで。目には見えないいろいろなものと戦い、男女平等を手に入れようと懸命だったのがよくわかった。それは決して彼女だけの力だけではなく、周囲の良き理解者の存在も感じた。彼女の人生への「熱」と違い、本書自体はあっさりめ。2024/09/08
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