出版社内容情報
人は誰しも、人生という「階(きざはし)」を歩いている。上っているのか、それとも下っているのか。そして、その先に待っているものは――。
江戸川乱歩賞作家・鏑木蓮が描く、京都を舞台にした純文学ミステリーのシリーズ第2弾。「苦しんでいる人に寄り添う医師でありたい」という心療内科医・本宮慶太郎が、傷ついた人たちの心を癒しながら、事件を解決に導いていく。
京都・東山にある神社の階段下で、一人の男性の遺体が発見された。同じころ、京都で心療内科クリニックを開院している本宮慶太郎のもとに、あるセールスマンがやってくる。彼には家に引きこもって出てこない5歳上の姉がいた。近頃は会話も成り立たない姉のことを、意を決して慶太郎に相談するところから、運命の歯車が動き始める。悲しすぎる現実の中にも、どこか希望と温もりを感じさせるミステリー。
内容説明
京都にある神社の階段下で、一人の男性の遺体が発見された。同じころ、京都・鞠小路で心療内科クリニックを開院する本宮慶太郎のもとに、30歳の営業マンがやってくる。彼には家に引きこもったままの5歳上の姉がいた。近頃は会話も成り立たない姉を心配し、意を決して慶太郎に相談することから、運命の歯車が動き始める。
著者等紹介
鏑木蓮[カブラギレン]
1961年京都市生まれ。2006年『東京ダモイ』で第52回江戸川乱歩賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
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いつでも母さん
158
心療内科医・本宮慶太郎シリーズ第2弾!見えないシリーズなるほど今回は階(きざはし)と来た。『人生には上り階段も下り階段もある。下りだと思っていても着実に前には進んでいる。病と向き合うことは前進なのだと。見えないけれど真実なのだ』最後に慶太郎がそう結んでいた。こんな丁寧にクライエントに寄り添い、治療に全力になってくれる心療内科医がいたらいいなぁって心底思った。プロローグが回収される時、一つの事件の真実が明らかに。それはPTSDを克服する第一歩になるのだなぁ。友美も佳鈴も急がず頑張れ!と応援する読書になった。2022/07/08
タイ子
92
シリーズ第2弾。新しく開院するために心療内科医・本宮の元に営業マン・古堀がやって来る。仕事とは別に彼が抱えている悩みに寄り添う本宮。それは深い闇への入り口だった。引きこもり状態の姉を救って欲しいとの相談。その頃、近くの神社で高名な弁護士の死体が発見される。その事に異常に怯える姉の様子から関連ありと見た本宮が調べていくうち、彼女の過去と精神状態の不安定の原因が見えてくる。心の病で苦しむ人たちに寄り添い、一歩前に進む勇気を与える本宮の姿に敬服。対する欲望のため人間の将来を闇に閉ざす悪しき者に虫唾が走る。2022/07/23
達ちゃん
24
シリーズ2作目。真相はやり切れないものがありますが、読み応えあってすごく良かったです。患者に寄り添いすぎるほど寄り添う本宮さんがいいですね。続きも期待大です。2022/10/30
タケチヨ
23
本宮慶太郎シリーズ第2弾。精神が病んでいる引きこもりの女性ととある殺人事件の関連性を追っていく内容。前作同様に一介の精神科医がここまで殺人事件に介入出来るものなのかという疑問はあるが(遺留品まで手に入れるし)、クライエントが容疑者となりそうな時に尋問による精神崩壊を防ぐ為に警察との攻防戦を繰り広げるあたりは本作の設定ならではという感じがする。これだけ名医でありながら何故病院は閑古鳥が鳴くのか不思議。 2024/06/26
Y.yamabuki
20
心療内科医の慶太郎が、診察の中で患者に寄り添いながら事件の確信に迫っていく姿がいい。彼の医者としての姿勢がぶれないのだ。ストーリーも診察同様ゆっくりと穏やかに進んでいく。結末は仄かな光も見えるけれど、戻らない過去を思うと遣り切れない。2023/02/27