内容説明
半グレたちとの闘いで脇腹を刺された裕三が、「昭和ときめき商店街」に戻ってきた。おっさんたちと翔太、桐子の町おこしが再び始まる。後継者がいない「大竹豆腐店」に可愛い女の子が働き始めるが…。別れた不倫相手と再会する七海、そして「志の田」の女将に心を寄せる川辺。ある日、女将は川辺を茂さんと親しげに呼び始め…。昭和色の人情小説、待望のシリーズ化。笑いと涙の連作七編。
著者等紹介
池永陽[イケナガヨウ]
1950年愛知県豊橋市生まれ。98年、「走るジイサン」で第11回小説すばる新人賞を受賞。2002年、連作短編集『コンビニ・ララバイ』で注目を集める。06年、時代小説『雲を斬る』で第12回中山義秀文学賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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おしゃべりメガネ
92
昭和レトロを売りにした'黄昏商店街'シリーズ第2弾。主要となるキャラの立ち位置や設定も前作で確立してるので、サラサラと読んでいけました。相変わらず次から次へと難題やトラブルがふりかかる黄昏商店街での様子。黄昏メンバーの'独り身会'はそれぞれ個性豊かに協力し合って、トラブル解決に挑みます。そんな中でも一番重要になる頭脳明晰な「翔太」が鍵を握りますが、幼馴染である「桐子」の存在が残念ながらとにかく鬱陶しくなってしまいました。最初は元気娘だった彼女のキャラも、本作ではただただ空気の読めない'こじらせ女子'に。2024/05/06
ふじさん
80
今作は、前作から二週間後で、前作の最後に起こった半グレとの闘い挑んだ「八人のサムライ」の顛末から始まる。刺された裕三が、「昭和ときめき商店街」に戻り、おっさんたちと翔太、桐子の町おこしが再び始まる。「真白な豆腐」では、後継者の若い女性の登場のの顛末が語られる、最後に分かる意外な真相が泣ける。「美顔パンをどうぞ」「理髪店の娘」は、町の再生と後継者問題がテーマ、なかなかいい。「半グレ哀歌」は哀しく切ない。「卒業」は、ミステリーとしても読める作品。「何処へ」は、川辺とおでん屋の女将との淡い恋の結末。面白かった。2024/09/09
まさきち
69
商店街シリーズ第二段。今回も黄昏商店街を舞台に、復興に限らず過去との悪縁との決別やコンプレックスの克服、命を賭して守り抜いた恋心に更には武芸者同士の果し合いなど、多彩であたたかい話が集められていて楽しめました。その中に恋のエッセンスが少々強めに振りかけられており、前作に比べて少々色っぽさを増した印象。また魅力的な脇役も増えて、今後の展開に増々期待を寄せての読了です。2023/05/24
fwhd8325
63
シリーズ2作目です。1作目でも思いましたが、この物語は自分自身もこの商店街の一員のような気持ちにさせてくれます。今回も結末を持ち越している物語です。この物語の中でみんなが生活をしている。そこには楽しいことよりも苦しいことの方が多いのかもしれません。それでも捨てたもんじゃないのは仲間がいるから。距離が近いそんな人間関係はけっして嫌いではありません。2022/04/15
楽駿
36
品川図書館本。シリーズ2冊目。後継者に悩む豆腐屋の跡継ぎ問題のお話と、25年ぶりに「卒業」の映画を放映して欲しいと言う顧客の願いに寄り添ったシネマ館のお話が、特に良かった。どちらも、人の苦悩と、温かさが同居している。源じいの命のやり取りも楽しいが、そんな派手な演出は添え物で、本来の年を重ねたからこその、過去の後悔や、今になったからこその、償いの生きざまとかは、やはり気持ちをほんわかさせる。哲ちゃんのその後がどうなったのかが解らないのが、次の巻では明らかになるのか?幾つになっても、ピュアな恋はあるよね。2022/06/06