内容説明
廃れゆく商店街をなんとかしようと独り身のおっさんたちが「町おこし推進委員会」を結成したが…。自らの過ちで娘を死なせた裕三は、二十数年の間、苦悩の底にいた。いまや絶滅危惧種ともいえる謎のおっさん源次は、生死の狭間でもがいていた。そして、平成生まれの高校生だけど昭和が大好きな翔太と幼馴染の桐子。翔太は、レコード店の七海に恋をするが…。
著者等紹介
池永陽[イケナガヨウ]
1950年愛知県豊橋市生まれ。98年、「走るジイサン」で第11回小説すばる新人賞を受賞。2002年、連作短篇集『コンビニ・ララバイ』で注目を集める。06年、時代小説『雲を斬る』で第12回中山義秀文学賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ふじさん
85
衰退の一途をたどる商店街に町おこし推進委員会が作られた。メンバーは、65歳を迎える同級生4人、学習塾経営の裕三、老舗喫茶店の店主の修三、鍼灸医の源次、元区区役所職員の茂、顧問として頭脳明晰で成績優秀な高校生の翔太。商店街の住民の苦情と要望の対処、個々の人物の活躍等が語られる中で、街の再生への道筋も見えてくる。古式柔術を得意とする源次の活躍の様子や翔太の的確な提案や推理が物語を盛り上げている。又、登場人物の個々の事情や過去が次第に明らかになり、読みどころは満載。昭和を生きた人々には懐かしくてたまらない作品。2023/07/23
まさきち
84
またいいシリーズに出会ってしまいました。寂れた昭和の商店街を盛り上げるべく集められた元同級生のおっさん四人と、昭和をこよなく愛する聡明な高校生一人。そんな彼らが愛すべき商店街のために一肌も二肌も脱いでいく中で、徐々に集まりくるこれまた魅力的なキャラクター達。全体的にはあたたかくて優しい、でもその中にペーソスや人生の陰や不安を織り交ぜながら話は進み、各話とも結末のディテールまでは描かない。そんな池永さんらしい話達に魅了されて、今後も追っかけていくことを心に決めての読了です。2023/05/12
fwhd8325
74
ありがちなお話なのかなと思っていたけれど、ちょっとスパイスが効いている。ちょっと癖になる感じ。この終わり方、何だと思ったが、続編があるという。まだ解決していない物語もあって、一体どうなったんだろうと気になっていたけど、自分がこの商店街の一員のような気がして、それも日常が解決するもんだと不思議な一体感も味わえます。2021/09/25
涼
68
http://naym1.cocolog-nifty.com/tetsuya/2022/09/post-10a06b.html 非常にゆかいで面白いのですが、かなり下品な表現が多いです。2022/09/26
おうち時間
41
池永陽さんの作品を読むのは久しぶり。寂れた商店街を復活させようと65歳の同級生4人が頭脳明晰の高校生を仲間に町おこし推進委員会を結成して活動するお話。多分有川浩さんの『三匹のおっさん』を読んだ事がある人ならちょっと雰囲気似ているな…と思うかも。めちゃめちゃ強いおっさんが登場して半グレ集団と戦ったり、子供の頃の初恋の相手と結婚したとか、いまだに片思いのままだとか重なる所が多かったかな。最強のおっさんが忍者という所は面白いけど、終わり方が中途半端なのは続編を読んでということなのかな。機会があればそのうちに〜。2024/08/09