内容説明
遣唐使・阿倍仲麻呂に想いを馳せた河西回廊、天山南路の旅。西安、蘭州、敦煌、クチャ、カシュガル、パミール高原…仏教伝来の足跡から日本の源流を探る。
目次
第1部 河西回廊(唐の都へ;大慈恩寺大雁塔;古都に佇む唐代の面影;西安から蘭州へ;炳霊寺石窟;夜の河西回廊;敦煌;莫高窟とめまい;敦煌文書;羅什とその弟子)
第2部 天山南路(辺境と呼ばれた西域へ;三蔵法師の苦難;ベゼクリク千仏洞;交河故城;クムトラ千仏洞;キジル石窟;スバシ故城;カシュガルへの道;パミール高原;奈良と西域)
著者等紹介
安部龍太郎[アベリュウタロウ]
1955年福岡県八女市(旧・黒木町)生まれ。久留米工業高等専門学校機械工学科卒業。東京都大田区役所勤務、図書館司書として働きながら小説を執筆。90年に『血の日本史』で作家デビュー。2005年に『天馬、翔ける』で中山義秀文学賞を受賞。13年に『等伯』で直木賞受賞。著書多数。20年、京都府文化賞功労賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
206
安部 龍太郎は、新作中心に読んでいる作家です。著者が旅するシルクロード、河西回廊、天山南路、写真と文章を楽しみながら読みました。しかし仏教にキリスト教(景教)が影響しているとは、思いませんでした。空海も最澄も、中国から聖書を持ち帰っているなんて(驚)何時かシルクロードを旅したい気はしますが、実現可能性は低いだろうなぁ。 https://www.usio.co.jp/books/paperback/221402021/08/08
あすなろ
105
シルクロードの西端は伊ローマ、東端は日の奈良と言われている。それにしても広い。車でも果てしない広さに圧倒されるのだから、歩いて通ったのなら絶望に打ちのめされるのではないか。そんな中国の西域に関する紀行文である。安部氏の思索は実に多様である。歴史、仏教、食、遣唐使阿倍仲麻呂の連載構想等。氏の略歴的な思索も交じる。氏は途中で記している。言葉は無数であり組み合わせは無限なのだから、その言葉か生まれ出る確率は大海原に生じる水泡の如きものだ、と。読者である僕は氏の多数の水泡に得るものが更に多数含まれていたいと感じた2021/11/13
サンダーバード@読メ野鳥の会・怪鳥
100
北京から敦煌までの河西回廊と敦煌からカシュガルまで天山南路の二回にわたる安部龍太郎氏のシルクロードの旅。「仏の道をゆく」と言う副題通り、かつては玄奘三蔵や鳩摩羅什らが遠くインドまで仏教を学び、中国に仏の教えをもたらす為に旅をした道。「日本を花に例えるなら、中国は根と幹である」と言うのはその通りだと思う。遠く離れたウイグル自治区に日本の正倉院と同じ古い装飾品が残っているのは興味深い。安倍龍太郎氏の文章も良いが写真が多くしかもオールカラー!これだけで買ったかいがありました。★★★★2022/10/13
さつき
74
西安から敦煌までの河西回廊と新疆ウイグル自治区の天山南路と2回にわたるシルクロードをめぐる旅。大陸の広さ、自然の厳しさに圧倒され、阿倍仲麻呂や鳩摩羅什などにまつわるエピソードやそこから広がっていくイメージの豊かさにワクワクします。道中、理不尽な理由で通行を禁止される事が幾度もあり、何か思惑があるのか、単なる嫌がらせか、賄賂の督促か不明ですがモヤモヤ。そんな体験を通して「不条理に寄り添う目を持ち、それを昇華する作品を生み出」そうと決意する所はさすがです。シルクロードを舞台にした作品を楽しみに待ちたいです。2022/09/26
tamami
56
その昔、へディンや大谷探検隊に憧れ、いつか敦煌の莫高窟を訪ねたいとの夢を抱いた。本書は、そんな夢見る人々に向けて作家の阿部龍太郎さんが案内する、現代版絹の道紀行。表紙に〈カラー版〉とあり、半分近くのページに鮮やかなカラー写真が配されて、「百聞は一見に」の思いを満たしてくれる。旅の主軸をなしているのは、「仏の道」。作家は鳩摩羅什や玄奘三蔵の足跡を辿り、阿倍仲麻呂や吉備真備に思いを馳せる。三蔵の『大唐西域記』が引用され、今は遺跡と化した当時の栄華の様子を偲ばせる。西域への入口、西安市の大雁塔から見えるビル街→2021/09/08