内容説明
出張料理人さち子は、依頼者の悩みを料理で解決していく。大御所の小説家を喜ばせた意外なレシピ、依頼者の老いた母を元気にした魔法のスープ、異国の来客に戸惑う両親とその息子を救った言葉…。そんなさち子は老舗料亭「花菱」の一人娘だったが、花板である父の死によって最悪の事態に。大好きだった父の味は滅んでしまうのか。
著者等紹介
山口恵以子[ヤマグチエイコ]
1958年、東京都生まれ。早稲田大学文学部卒業。会社員を経て、派遣社員として働きながら松竹シナリオ研究所で学ぶ。その後、丸の内新聞事業協同組合の社員食堂に勤務しながら小説を執筆。2007年『邪剣始末』で作家デビュー。13年『月下上海』で松本清張賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ミカママ
511
食堂のおばちゃんシリーズの著者による、小冊子に掲載された掌編集だそうだ。主人公のさち子は離婚後、出張料理人となる。そこで見聞きした他人さまの人生と、彼女自身の人生。そしてなんといっても美味しそうな(手の届かない…と言うわけでもないところが一層の魅力)お料理の数々。眠りにつくひとときに、一編ずつ読めるのもいい。2022/09/30
しんごろ
245
出張料理人さち子の連作ショートショート。出張して作りあげる数々の料理は、今、テレビを賑わせている伝説の家政婦タサン志麻さんを思わせます。料理のメニューを考えて書きあげてるのは山口恵以子さん。山口恵以子さん自身が出張料理に来てほしいですね。介護、認知症、お墓のこと、さらには詐欺被害といった老後の問題を物語のネタとして扱ってますので、自分の老後について、ついつい考えてしまいますね。自分が老後どうなるかわからないけど、料理には罪はない。だから、いっぱい美味しい料理を食べて、幸福を味わいたいですね。2020/07/14
みっちゃん
142
ホームパーティのお料理から作り置きの家庭料理まで。依頼主の様々な事情まで汲み取って、「こんな料理を待っていたの」極上の料理とサービスを提供する出張料理人。ただ、このサービスを依頼する人たちはきっと裕福なんだろうなあ。はじめ食堂には毎日でも通いたいけど、ここには気楽には頼めないなあ…2021/01/09
ゆみねこ
90
老舗料亭の一人娘のさち子は、父の急逝、新婚の夫の出奔を経て出張料理人として働くように。様々な家庭で依頼者の悩みを料理で解決するさち子。24編の短編集は日清医療食品の「美し国」に掲載されたもの。面白かったけど短編なので直ぐに忘れてしまいそう。2021/07/14
ジュール リブレ
73
老舗料亭の一人娘が営む出張料理、訪ねる先はそれぞれ。少しずつ覗く人生のバラエティ。深く立ち入ることは無いけれど、出会いの中で彩りを添える美味しそうな料理たち。介護食などの配布先に配られた雑誌の連載。読む人たちに合わせた話題満載。振込サギへの警戒や介護の話題など。ジメジメした話よりは明るく読ませてくれる。たまにピリリと辛めの味付け。10話の退院パーティーが、絶品でした。2020/11/22