出版社内容情報
日々の付きあい、なりわいの内にひそむ明るい孤独と静けさのなかへ--散歩、音楽、日々を輝かす清新なエッセーが新装版として登場。
目次
ノンセンスの贈りもの
猫の名前
ランドフスカ夫人
モーツァルトのように
手
夏の夜の眠り
ヘルジーリエの鍵
交響曲第一番
「?」を売る男
ほんのちょっとした隠れ家〔ほか〕
著者等紹介
長田弘[オサダヒロシ]
詩人。1939年福島市に生まれる。1963年早稲田大学第一文学部卒業。1971‐1972年北米アイオワ大学国際創作プログラム客員詩人。毎日出版文化賞(82)桑原武夫学芸賞(98)講談社出版文化賞(2000)詩歌文学館賞(09)三好達治賞(10)などを受賞。2012年、福島県より平成24年度県外在住功労者表彰を受ける(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Shoko
24
朝や夜の静かな時間に、少しずつ読む。言葉、旅、日常、本、音楽。孤独を過ごすのに必要なものたち。 ソローの鋳掛屋や、メニューインの出会ったエレベーターの運転係。日常を生きる、人生を生きることを教えてくれる人々が印象に残る。ポーランドの「ほんのちょっとした隠れ家」という名のカフェ。店の椅子は、てんでんばらばらの古いもの。座ってコーヒーを飲んで過ごしてみたい。コーヒーといえば、アイリッシュコーヒーも飲んでみたくなったし、読みたい作家、作品も増えました。詩に通ずるものを感じた長田弘氏の孤独の時間。堪能しました。2017/11/14
朝日堂
23
鋳掛け屋のトム・ハイドは、絞首台で人生を終えた男だった。絞首台に立ったとき、何か言いたいことはないかと訊かれて、トム・ハイドは答えた。「裁縫師たちに、最初の一ト針を縫うまえにその糸に結び玉をつけることを忘れるな、と言ってくれ」そう言いのこして鋳掛け屋は死んだ。百年まえの北アメリカの話である。目立たないが、こころのどこかにその存在を鮮やかに残す人がいる。それが読了しても印象に残るページだった。この箇所はヘンリー・デイヴィッド・ソロー『森の生活』にでてくるそうで、全編に漂う孤独感はその影響を受けたものだろう。2013/08/22
ののまる
18
長田さんの文章を読むと、その言葉遣い、言葉選びに気持ちが澄んでいく気がする。エッセイで綴られている色や風、コーヒーや本、街、樹、音楽が、全く違った景色にみえてきて、何もかもに、きちんと独りで向き合って大切に時を刻みたいと思う。先日亡くなってしまわれて本当に哀しいけれど、こうして文章が残されている幸せ。2015/05/15
Tenouji
7
完全なる自由を求める、心向き。「ひとは美徳によって生きない。じぶんがじぶんにもとめる気概によって生きるものだろうからだ」2015/04/04
ceskepivo
6
心地良いエッセイだ。カフェの記述が良い。「ひとは、一人でコーヒー屋に行って一杯のコーヒーを飲む時間を一日に持たねばならない」。 人生観も。「人間のつよさは、一個の私がどれほど気概を持って流されずにいきられるかどうかだ」2025/02/09
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