内容説明
藩政改革の前に抵抗勢力となる重臣。若き異能の士が力を発揮する。米沢藩は衰亡の危機に瀕していた。再建に乞われた一人の学者―「民のために生きる」名君上杉鷹山の改革をささえた師・細井平洲の教え。
目次
両国橋は青空劇場
幕府の非情な大名政策
名門になった北国の守護神
初講義
硬骨漢佐藤文四郎
米沢保守派のサボタージュ
いつも脇に先生がおられる
財政難の時こそ人づくりを
藩校は心の学校です
重役たちの講義監視
財政の根本原則
最初の門人を改革の核に
異能は異常時に発揮する能力
藩主は米、藩士は薪と釜
江戸での門人が米沢にいた
伝えるべきは感動
平洲先生の自戒
重臣たちのクーデター
直江兼続を偲ぶ
著者等紹介
童門冬二[ドウモンフユジ]
1927年東京都生まれ。東京都職員として広報室長、企画調整局長、政策室長を歴任後、退職。作家活動に入る。歴史上の人物や事件をテーマにした小説、評論等で活躍(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ユーユーテイン
12
細井平洲は、両国橋付近で町民を相手にやさしく面白く学問を説き、芸能人以上に支持された異色の学者であった。講義を聞いた藁科松柏に頼まれ、17歳で米沢藩主となったばかりの上杉鷹山の師として迎えられる。二人の出会いから、平洲が74歳で亡くなるまでの交流が描かれている。平洲が「勇なるかな、勇なるかな」と鷹山を励ましたこと、米沢を訪れた平洲に滝を案内する鷹山の細やかな心遣い、尾張藩の藩校の責任者となったこと、尾張・愛宕山での実父とのやりとり、などが印象に残った。同著者の「上杉鷹山」を読んでおくことをおすすめしたい。2021/08/09
Masato Ⅱ世
4
大統領就任時インタビューで日本の政治家で尊敬する人は?の問いに「上杉鷹山」と答えたJ.F.Kennedy。20代の頃、童門先生の「小説 上杉鷹山」は凄く感銘を受けた小説です。その鷹山の師 「平洲先生」こと細井平洲の教えは聴衆同目線で道理を身近で大変わかりやすい物事に例えて説かれるので引き寄せられます。改革は、目的と理念を端的に明確にする事、それに夢が加われば私の理想です。ケネディの「国家が貴方の為に何をしてくれるのかより、貴方が国家の為に何ができるかを問いたい」この演説を思い出しました。2022/08/13
よるる
4
同じく童門冬二氏の「小説 上杉鷹山」を細井平洲目線で辿っている感じ。 最初は時折出てくる現代用語やカタカナに戸惑いましたが、現代社会に例えた用語は読み進めていく上で分かりやすかったです。 なんとなく達観した学者様というイメージがあったけど、人間臭い所もあり、本当に平洲先生の話を聞いてみたくなりました。 平洲先生が名付けた藩校「興譲館」の流れを受けた現在の米沢興譲館高等学校にも平洲先生の「学則」は受け継がれているようです。すっごい。2014/09/06
たっちゃん
4
上杉鷹山は有名になったが、その師の「へいしゅうせんせい」細井平洲は名前だけは日本史で習って知っていたが、読むにしたがって、この師に教わってみたい!と思った。師弟物語に静かに深く感動していく。2011/11/08
けい
3
文体として、文章として、ムムム?とひっかかるところはあるのだけども、現代にも通じる一冊。心の持ち方の基本のキだね。わかったつもりでも、心持ちはだんだん変化していくものだから、たまに思いを馳せるのも有益。2018/09/28