内容説明
『レ・ミゼラブル』が法律と人間の戦いであり、『ノートル=ダム・ド・パリ』が教義と人間の戦いであるのと同じく、『海に働く人びと』は自然の力と人間の戦いである。人間の内面の劇に眼をこらした雄篇。
著者等紹介
金柿宏典[カナガキヒロノリ]
1931年栃木県生まれ。東北大学文学部仏文学科卒。現在、福岡大学教授。訳書に世界の文豪叢書「ヴィクトル・ユゴー」など
佐藤夏生[サトウナツオ]
東京都生まれ。東京外国語大学フランス科卒業。現在、神奈川大学教授。共著に「ロマン主義のヨーロッパ」、訳書に「コリンナ 美しきイタリアの物語」、共訳に「メフメトII世―ビザンティウムの征服者」など
庄司和子[ショウジカズコ]
横浜市生まれ。上智大学外国語学部フランス語学科卒業、ソルボンヌ大学留学。横浜双葉学園フランス語講師を勤めた。訳書に「赤ちゃんになった天才博士」「カモメのシャルロット」「いぬのナルシス」など
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kinka
9
ル=グウィンの悪夢的SF、『天のろくろ』でとてつもなく印象的に引用されていたことで興味を持った『海に働く人びと』。夢見る青年が夢のために頑張り、夢のために挫折していく様を描いている点が、ル=グウィン好みなのかな。夢想って、ある種凄い力を持ってるけど、独りよがりにも陥りやすい。読者としては、これだけの力がある男ならこれから何でも出来るのに、と思うけど、根本の美しい夢が崩れたら、もうそこで生きていく意味がなくなってしまうのだろう。海洋冒険小説、サバイバルDIY小説としても読み応えある作品だった。冗長だけど。2016/03/26
Fumitaka
0
スターリンの愛読書の一つである。最初も最初ですが、地元の名士でも「親方」と言われるまでになかなか条件があるというのが面白かった。クライマックスのタコとの死闘とか、必死こいて船の心臓部を取り出していくあたりの重厚な描写は、まあちょっと後の人ながらゾラを思わせる。しかし、まあそうじゃないかと途中から思ってましたがやっぱりああいうラストでしたねえ。まあ僕が彼女でも髭ぼうぼうのすごいのが出て来て「お前の夫だぞ!」と言われたらたぶん「うおおおーッ」と『学校の怪談』みたいな感じになるだろうと思います。2019/08/16
-
- 電子書籍
- らっこ フレーベル館だいすきしぜん