内容説明
宿命的な恋愛、情熱、嫉妬…人間の生々しい感情を、詩情に富んだ自由奔放な手法で描き出したロマン主義文学の典型的な作品。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
財布にジャック
49
劇団四季が12月から「ノートルダムの鐘」を上演すると知って、慌てて原作を読んでみました。登場人物の中に幸せな人が出てこない胃の痛くなるような内容でしたが、運命とか宿命ということを考えさせられる超大作でした。ディズニー映画とは結末が違うらしいので、映画も近々鑑賞してみたくなりました。カジモトがオペラ座の怪人のファントムとイメージが被ってしまうのですが、劇団四季でどんな風に演じられるのかが楽しみです。2016/04/04
きりぱい
13
前置きが長く、本筋が見えても豊かに横道に逸れてくれるというだけでなく、何と原作は思っていたのとは違うジプシー娘エスメラルダをめぐる重層的な悲劇だった!娘への肉欲に血迷う司教補佐クロードだが、見苦しさも度を超えると哀れに見え、せむしの鐘つき男カジモドの清らかさは更に哀れで・・それなのに娘が愛するのは見かけだけの隊長フェビュス。不毛な四角関係は法に追われる事件へと発展し、フェビュスのろくでなしさで、なんでー!な展開に。ノートルダム大聖堂が見下ろすパリの人々も、宿命に導かれるストーリーも強烈な作品だった。2011/04/09
江口紀
7
この物語の主役は美女エスメラルダ、せむし男カジモド、高潔で知られるフロロ神父。このフロロ神父の描写がすごい。「(ある神学者も)魔女の魅力におぼれたことがあったが、彼はその女を火あぶりにして、自分は立ち直ることができたのだ。この話を知って、救いの道を求めようと思った。」(329頁)。自分勝手の極み。こういう男の脆さ、卑劣さがわかるのに300頁以上の伏線を延々と読まねばならないのが大変。アニメですませようと思うなかれ。人生丸ごと書こうという作者の意気込みを知るには、アニメにないラストを読むしかないのだ。2010/08/02
cuchico
5
観劇予習として手にとる。聖職者フロローの宿命の物語だったとは。壁の落書きから着想し重厚なストーリーに仕立てたユゴーの想像力よ。よくぞアニメ化し荘厳な楽曲を生み出したDisneyよ。そして素晴らしい舞台を観せてくれた劇団よ。面白かった凄かったでは済まされない演出や音楽を、記憶をなぞりながらますます濃くなる残り香に数日間取り憑かれている。2022/08/16
にぼし
3
鬱展開全開で読了してモヤっとしました。登場人物が悲劇すぎてディズニーとのギャップがすごいあったけれど読みごたえがありました。カジモドの清らかな愛が報われずにフェビュスばかり良い思いするのって所詮顔なのか、と思ってしまいます。司教補佐も狂っていくしエスメラルダの美しさが男たちの人生に深く影響し破滅に導くなんてまさに魔女の所業のよう。ディズニー映画版も大好きですが原作も面白かったです。2013/02/26