出版社内容情報
烏戎国の藤甲軍が出陣してきた。
魏延は孔明に命じられた通り、敗れたと見せて陣をひく。敗走は15度に及んだ。
得意になった兀突骨が盤蛇谷にやてきた時、孔明の仕掛けておいた火薬が炸裂する。
油と蔓で作られた鎧は、刃物や水には強かったが、火には弱かった。藤甲軍3万は全滅した。
捕らえられた孟獲は、七たび許すとの孔明の伝言を聞いて、心から孔明に詫びる。
南蛮平定をなした孔明は帰途についた。孟獲は瀘水の畔まて見送ってくるが……。
目次:
敗走十五度/孟獲心服/凱旋/檄文/仲達追放/出師の表/鳳鳴山の合戦/窮地/時の流れ/安定城落城/謀略と策略/若武者姜維/孔明敗れる/離間の計/巣無し鳥/一本の矢
〔付録〕
三国志関連地図
三国志ビジュアル 岳飛書「前出師の表」拓本
『三国志演義』あれこれ 村松暎(慶應義塾大学名誉教授)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
今ごろになって『虎に翼』を観ているおじさん・寺
47
あの大変嘘っぽい(100%創作だと思う)南蛮征伐は予想通り孔明の勝利で終わる。帰って来たら至極アッサリと馬超が死ぬ。魏も当主が死に、三代目にバトンタッチ。魏の知将司馬懿仲達は孔明の策略で官位剥奪。その後孔明が有名な前出師の表を執筆発表し、魏を討つため挙兵。迎え撃つ魏は貴族の夏侯附馬が自ら志願の総大将。途中、趙雲のピンチもありながら孔明の勝ち。その後、敵方に姜維が登場し、孔明初の敗戦。しかし策略で姜維が孔明の軍門に降る。2012/01/15
どぶねずみ
32
南蛮平定のためとはいえ、烏か国の人々を根絶やしにしたことに涙を流す孔明。軍師といえば多少の荒っぽさも想像するが、とても心優しい人柄なのかと気づく。そんな孔明だが、南蛮平定をなした後に初めての失敗。裏の裏をかく者が今までいなかったのか?と思うほどの成功率だったが、同様に裏の裏をかいて失敗した。生きている間、失敗なんてあって当たり前。今まで失敗しなかった方が不思議なくらいだ。今後、この失敗が役に立つときもあるだろう。 2020/04/18
Lee Dragon
27
饅頭の起源がわかって面白かった。 そして、孔明が初めて負けた。負けてもなお強しといった感じである。付録の出師の表があったのがよかった。「臣亮曰く〜」2019/01/31
黒猫
11
南蛮平定後から、出師の表、蜀の快進撃の章。このあたりから馬超が亡くなり五虎将軍も趙雲だけに。。人材も文官はそれなりにいるが、呉の陸遜クラスの将軍が蜀にはいない。それが孔明を追い詰めてしまったんだが、今回は自ら兵法伝授の相手を姜維に選ぶ。孔明、姜維の最後を知ると悲しくなるが、とにかく蜀の人材不足があらわになってきたところ。それにも関わらず北伐を開始するのは、先帝劉備の遺志であり、両国の差がこれ以上開く前に先手を打った形となった。次回、魏の出方が面白そう。2021/04/21
そうび
10
孔明、南蛮を平定。饅頭の由緒も登場。馬超、曹丕が泉下へ。司馬懿の西涼行きを案じた孔明と馬謖は一計を企て、司馬懿は罷免される。憂いを断った孔明はついに魏へ出陣、趙雲は若手の台頭を覚る。魏の南安、天水、安定も策謀を巡らし陥落させる。麒麟児・姜維をGET。巻末は岳飛書「前出師表」、格好良い。孔明はやはり政治家でなく、劉備に忠義を抱く軍師なんだな。2021/05/09