感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
アキ
71
苦行から距離をおき、6年間修業を共にしたアッサジが死を受け入れるのを目の当たりにし、シッダールタを愛するスジャータが死に至る間際にブラフマンに出会う。すべての生物は同じ源から生まれていることを悟る。菩提樹の元で瞑想する彼に祖国が滅ぼされた知らせが届く。彼は懊悩するが修行を続ける。生まれながらの身分の差に矛盾を感じる巨人ヤタラに説法を説く。ついに彼はブッダになり、悟りを開いた。解説は亡き大林宜彦監督。その頃ブラックジャックを映画化し、手塚治虫50歳頃に書かれたこの本を、おそらく死を意識して書いたものとする。2020/04/28
財布にジャック
54
アッサジ、スジャータ、ルリ王子、ヤタラにスポットがあてられました。そして、最後の最後にブッダが悟るという激動の巻。この巻にはウルッとさせられるシーンやセリフが多く、手塚治虫の偉大さを感じました。人の生き死にが係わるストーリーだけに、漫画とはいえ大変考えさせられました。2011/11/10
紅香@本購入まであと5冊
29
『木や草や山や川がそこにあるように人間もこの自然の中にあるからには、ちゃんと意味があって生きているのだ。あらゆるものとつながりを持って。そのつながりの中でおまえは大事な役目をしているのだよ。もしおまえがこの世にいないならば何かが狂ってしまうだろう』心に光をもたらす言葉があれば生きる望みが湧き、今の現状をなるべく良くしようと行動ができる気がする。闇が深ければ深いだけ、わずかな光が有り難く、愛おしい。そして希望に変わる。2019/05/08
活字スキー
18
【あんなすさまじくて恐ろしい苦行があるだろうか。あれにくらべたら苦行林でやってることはこどもだましの遊びみたいなもんだ……】毎回恐るべき読み応えのシリーズながら、今回は予言されたアッサジの最期と、悲しき巨人ヤタラとの対話が一生もののトラウマになりかねないレベル。ミゲーラの業病はシッダルタとタッタの献身によりどうにか快復するが、苦行に傾倒するばかりのデーパとは決別。そして、チャプラ母子の悲劇にも重なるようなヤタラの慟哭がシッダルタに決定的な目覚めをもたらす。物語はこれでようやく折り返し。 2022/06/23
くろうさぎ
17
アッサジの最期は悲しすぎます。そして身分の壁により苦しむルリ王子も辛すぎる。人はなぜこうも苦しむのか…。それでもシッダルタが、いよいよブッダの名を授かり今後の展開に希望が持てます。2018/07/15