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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
悠里
4
教授に「これ、面白いよ」って薦められて読んだ本。同じ過ち、後悔を繰り返すヘンチャード。学ばないなぁと思いつつも、人間って誰しもこういう面があるのではないかって思ってしまった。自尊心について考えさせられた物語だった。深い悲しみが終始、後悔とともに続いているような感覚がある中で、感動や喜びが降り掛かってくる。決して相手ばかりが悪いのではない。許せない人だけども、そんな人にも愛情は必要なのかもしれない。憐れまれることは自尊心を傷つけるかもしれないけれど、無関心よりは良いのではないか。2019/04/23
Э0!P!
1
償いは簡単には果たされない。冒頭の衝撃的な事件は彼にその後一生付きまとう重荷となる。暗い秘密を携えた彼はただ幸福な将来を夢見る間に、後ろめたさのない善良な後進に追い立てられていき、誰に相談することもできずに少しずつ彼の居場所は失われていく。失えば失うほどに足掻いて他人を傷つけ、また失っていくのだから自業自得ではある。だが何度心を斬られても立ち上がる哀れな姿には不思議と気高さが宿る。やり直しの効かない人生の中で自身の運命とリングの中で決闘をさせられた男が誰の歓声も得られず嬲られる。2025/03/11
KUMAGAI NAOCO
1
酒の勢いで妻子を見知らぬ船乗りに金で売ったマイケル・ヘンチャードと、売られた娘エリザベス・ジェーンの話。妻子と別れた後、商才を発揮し市長の座まで上り詰めた男が、過去の過ちと気性の為に転落して行く様が悲しい。最期は本当に孤独だったんだろうなと。2020/07/25