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あかねが松江へ移り住むようになってから一年たった。両親の不和が原因で父と別れ、あかね、妹の麦子、母の三人は松江にある祖母の家で暮らしてきたのだった。父と別れた直後から睡眠薬を常用し、情緒不安定の母。夜ごと、ふくろうの鳴き声におびえる麦子。あかね自身の気持も、父への想いと憎しみの間を激しくゆれ動いてきた―。もろく、こわれやすい三人の関係を自分が支えなければ…。そして、光をあびてひっそりと咲く野の花のように、自分をいつわらず、自然に生きていこう。あかねは今そう決心するのだった。
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