出版社内容情報
昔,秋田の北にひさという無口なおなごわらしがおった…ある大雨の夏,幼い子を助けたひさは水にのまれてしまう。★よい絵本選定 小学生低学年から
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
rico
67
ちひろさんらしい、淡い夢見るような色彩、はかなくそれでいて意志を感じる描線。それはまさに、目立たず静かにそこにいる、そしてなすべきことをなし、星になったひさそのもの。そんな存在に光をあてたかったという斎藤さんの想いは貴いけど、危うさも感じます。美しい物語のもとの自己犠牲の強要はあってはならないこと。こんなふうに星になるのは、ひさが最後であってほしいと思いました。ちひろさんはどう思ったのでしょう。酷暑を避けて訪れた「ちひろ美術館」の図書室で読みました。静かな、静かな時間でした。2024/08/12
パフちゃん@かのん変更
59
ひさにとっては自己犠牲などと考える間もなく「助けなければ」という思いしかなかったと思う。しかし、たった10歳か11歳の子が・・・。悲しくてならない。いくら美しい自己犠牲と言われても納得できない。ひさが可哀そうだ。ひさの母は「ひさがそんなことをするわけがない」と反論しなかったのはなぜか。いつもの行動を考えればいきさつはすぐ思い浮かびそうなものを。作者が憎らしくなるくらいひさが切ない。2014/10/13
chiaki
37
別冊太陽『心をつなぐ読み聞かせ絵本100』より。斎藤隆介さんのやわらかな文に、岩崎ちひろさんの絵が優しくて儚くて切なくて…すべてが押し寄せて胸がじーんとしました。ひさは、誰かの家へ遊びに行くと、一番後からあがってきて、そっと後ろに座るような子。その描写だけで、もうひさの人となりが痛いほどに伝わる。言葉よりも先に、自分の信念に従って行動出来るひさの強さに、目が覚める思いでした。真実は目に見えるもの、耳に聞こえるものだけじゃない。取り繕って、自分を守ろうと言い訳をする人間たちの愚かさ醜さを思い知らされました。2022/04/15
ひらけん
31
岩崎ちひろさんの絵が鮮やかな色彩を描き出しているけど、何回読んでも悲しい話やで。川にあやまって落ちた政吉をひさが自分の命を投げ出してまで助けた話はいい話なのかもしれないけど、ひさかてまだ子供やし、幼い子供を助けたけど、我が子は帰って来ないひさの両親の気持ちを考えるとやり切れない気持ちが残るよ。どれだけ立派な行いをしたとしても、親子がもう二度と会う事が出来ない話にするのなら、ひさが生きて帰って来たみたいな話にして欲しかったかな。東の空に光るひさの星はもしかしたら、プレアデス星団なのかなって思ってしまった。2019/08/04
わむう
22
何も言わないからって弱いのでも冷たいのでもない。困っている人を見ると自分のことは顧みずに身を投げたして助ける。悲しい結末だけど、本当に強い人だったんだな。2016/12/14