出版社内容情報
お母さんがりょう君を呼んでいます。まだ遊んでいたいのにご飯の時間なのです。いやいやながら食べるりょう君。食べ終わって食卓を立つと、どんぶりがりょう君を呼び止めました。その声に振り向くと、どんぶりにはしらすが残っていました。
内容説明
命のやりとりから遠ざかって無関心になっていないかな。必要な分の命をたいせつに食べる人がふえれば今よりたぶん、たくましくて、やさしい世の中になる。飽食の時代に一石を投じる「しらす体験物語」。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
298
最勝寺朋子・作。これがこの人のデビュー作らしい。お話は、りょうくんがお昼ごはんに「しらすどん」を食べた時に、1匹だけ食べ残してしまった。そこから、始まるしらす幻想(というほどでもないが)の物語。いくぶん教訓臭があるのは気になるところ。絵そのものは基本的にはリアリズム。ことに、りょうくんのイガグリ頭の表現の忠実さ、細密さはスーパーリアリズムの一歩手前あたり。2025/06/16
starbro
278
しらすどんの絵本があるとは思いませんでした。食育やSDGsを考えさせる絵本です。シュールな内容ですが、自分自身が共喰いするようでしたら、十分ホラーです。 https://getnews.jp/archives/30603972021/07/28
ぶち
82
しらすが美味しい季節です。表紙のしらす丼の絵に魅かれて手に取りました。 家庭の明るい雰囲気の食卓から一気に不穏な展開に! 予想もできない展開に驚きながら最後まで一気読み。なかなかに奇抜なお話ですが、しらすがどうやって食卓にあがってくるのか理解するのにとても良い絵本です。食べ物を粗末にしてはいけない、と子供たちが思ってくれればいいなぁ…2025/06/03
ゆきねこ
63
昭和タッチの絵。しらすどんのしらすを残したりょうへいはシラスの世界へ引き込まれる。生ごみとして焼却炉へ。真っ赤な世界が恐ろしい。シラスとして海で生まれ変わったりょうへいは、食べる側と食べられる側を反転する。自分が食べているものをかつて生きていたものだった思う想像力はとても大切。シュールで不思議な感じ。子どもはどう思うだろうか。焼却炉で燃やされる場面で悲鳴をあげたくならないだろうか。生きていたのに人間に命を取られゴミにされる非情を感じるだろうか。 2022/07/01
yumiha
55
同居人が断固として食べない「しらす」。哀しい私は、年1回ほど出盛り期に買って自分だけ楽しむ。そんな貴重な(?)しらすを残すなんて、りょうくんはバチ当たりだぜぃ。しらすの言い分はごもっともですがな。と思っていたら、あれあれ急展開!驚いていると、なんてきれいな海の中。まるでしらす丼のどんぶりのような深い色。ラストは、これしかないだろうけど、想定内だった。安易にしつけ絵本として与える親御さんも想定できた。2022/02/21