内容説明
楽団のセロひきゴーシュは、下手でしかられてばかり。そこで、演奏会にむけて、夜おそくに家でセロを一生けんめい練習していると、扉をとんとんとたたく音が。入ってきたのは…。
著者等紹介
宮沢賢治[ミヤザワケンジ]
1896年岩手県花巻市生まれ。盛岡高等農林学校卒業。1924年詩集『春と修羅』、童話集『注文の多い料理店』を出版するが、1933年9月21日、病気のため三七歳の若さで亡くなる。数多くのこされた、すぐれた詩や童話が、没後、整理・出版され、いまもなお多くの人びとに読みつがれている
ささめやゆき[ササメヤユキ]
1943年東京生まれ。二四歳から絵を志す。絵本『ガドルフの百合』(偕成社)で小学館絵画賞、『真幸くあらば』(講談社)で講談社出版文化賞、『あしたうちにねこがくるの』(講談社)で日本絵本賞を受賞
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感想・レビュー
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♪みどりpiyopiyo♪
58
図書館の「宮沢賢治 特集棚」で、表紙の素朴なゴーシュに惹かれて手に取りました。ささめやゆき さんの絵が ほんわり優しくて。■冒頭、楽長の剣幕に「こんなに辛いお話だったかしら」と泣きそうになりながら読み進めましたが、ゴーシュがセロを持ち帰った晩からの 賢治らしい 不思議で夢のあるお話に、ちょっと和んで 安心して楽しむことが出来ました。(動物たちへの仕打ちはひどいけど) ■動物たち、どこから来たのかな?(ღ′◡‵) (2005年。原作は1934年発表)(→続2016/11/25
anne@灯れ松明の火
33
賢治の伝記絵本を読み、読んでない童話が多いことに気づいた。挿絵はいろいろあったが、ささめやゆきさんを選んだ。ゴーシュは優しくて、動物とほのぼのと音楽会を開いているイメージだったが、随分違っていてビックリ。練習しても練習しても、上手くならず、叱られてばかりのゴーシュ。セロを持ち帰り、「ごうごうごう」弾き続ける。やってくる動物たちにも荒い言葉で冷たい対応。でも、少しずつ変化が……。泣きながらも練習をやめないゴーシュ。好きで、続けることって、大切。そして、思いがけないところで役立っていることもあるんだね。2015/12/27
こゆ
22
新小3に読み聞かせ。前半のセロひきのゴーシュの家でのブチ切れ具合に驚き、危うく親子で脱落しそうになったが、動物たちと触れ合うことで少しずつ優しくなるゴーシュに子どもも後半になって面白さを感じていた。子ども向けの話なのに主人公がお手本のようないい人じゃなく、破天荒で口が悪すぎるところが斬新だなぁ。今じゃ絶対使えない過激な言葉も出てくる。有名作だけど、私も何気にこのお話読んだことなくて、アラフォーの今さらだけど読めて嬉しい。2022/04/10
なると
22
賢治が亡くなった翌年に発表された作品だそうです。こちらの作品も宮沢賢治が言いたかったことを考察するのが大変です。演奏が下手で偏屈な心の持ち主のセロ弾きのゴーシュが4種の動物との交流のおかげで無意識に演奏が上達していた。でも上達していることに本人はまだ気づいていなくて…でもほんのちょっと慈悲の心を知ったみたい…的な話なんだけど。難しい、深いです賢治さん。2016/09/10
ほのぼの
15
ブックトーク選書のため読了。ゴーシュの変化がいい。ハッピーエンドでいい。この話好きだなあ。このはなしぜひ紹介したい。2016/01/22