内容説明
ジャンピーは、ほんの小さな子犬のときから、ハリーといつでも何をするのもいっしょでした。ところが、ある日、突然、おとうさんから、もうジャンピーには会えないと告げられ、ハリーは、どうしても受け入れることができません。すると、夜中に…。悲しい気持ちに寄り添うやさしい愛の奇跡。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
やすらぎ
155
さようならを言葉で言うのは容易いけれど、心の底にある悲しみが癒されるのはまだまだ先です。忘れたくない思い出の数が多いほど、長く深く付き合った証し。心に残り続けます。本当のさようならが言えるのはいつになるだろう。…忘れる必要なんてないし、心の中にずって居てくれていいから。…毎日どんなときでも、ぼくの目の前に居てくれたね。沢山遊んで一緒にベッドで眠ったね。…楽しかった日々も今は切ない。今日はソファで眠りにつく。長い夢を見た。そこにはジャンピーがいる。夢の世界であったとしても、あなたに再び会えたことを忘れない。2021/06/07
匠
128
子どもの頃の自分を思い出してズーンっとくる。ペットの死を通して子どもが成長する姿を描く作品は数多くあるけれど、この絵本はさらに多くのことに気づかせてくれる。また、それだけに何度読み返してもじわっときてしまう。何らかの理由で母親の存在しない主人公の少年ハリーにとって、「さよなら」という言葉の重みがどれほどのものであるか。可愛がっていた犬のジャンピーがどれだけ心の支えだったか。彼を静かに優しく見守る父親の内心も汲み取ると、たまらなくせつない。でもとても素晴らしいお父さんで良かった。2014/05/06
モリー
65
暮らしを共にする親しい人を失う経験が、私には、まだありません。だから、どれほど想像力を働かせても、喪失の深い悲しみに沈む人の気持ちを、「わかる」なんて言ってはいけない気がしてなりません。阪神淡路大震災や東日本大震災で喪失の深い悲しみに沈んだ方々の気持ちと、飼い犬を突然失った主人公の少年の気持ちを重ねて読みました。「さよなら」を言えるまでには、亡くなった大切な存在をしっかり抱きしめる時間が必要なのだと思います。おさなごを失った親ならば、亡くなった子供を抱きしめる時間はとても長いに違いない。2020/01/17
gtn
42
その言葉を言えるまで、ハリーに寄り添ってくれたジャンピー。おかげで、ハリーは心の中に永遠のジャンピーを手に入れることができた。2020/01/21
ぼりちゃん(旧 aiaimo`olelo)
38
ハリーの一番の友達、犬のジャンピー。突然訪れた別れ。ジャンピーの死をどうしても受け入れることができないハリー。すると夜中に奇跡が… 犬と少年の結びつきの強さと、「死」を受け入れていく少年の心の成長が描かれた絵本。 昔、仔猫を拾った。銀行の帰り道だったので銀子と名付けた。かわいい鳴き声の美しい三毛猫だった。交通事故で亡くなった早朝、銀子は私の夢に出てきた。起きた時、私は泣いていた。その体験は、銀子の死を受け入れる勇気を私にくれた。大事な存在の死は自分なりに納得して受け入れていく、その大切さを思い出した絵本。2021/05/16