出版社内容情報
太平洋戦争――護国の鬼となって散った若い命。時をこえ昭和の終焉にたちあうことになった神風特別攻撃隊の少年兵。彼の行先は? 小学生高学年から
内容説明
一也と未来は、「昭和」をふりかえる写真展の会場でふしぎな少年に声をかけられた。その少年は、敗戦をまぢかにした40数年前の日本から、「時」を超えて、この現代にあらわれたのだという。神風特別攻撃隊、焼け野原となった日本の国土、そして少年が語るおそろしい戦争の真実―一也と未来は、いつしかタイムトラベルの世界へと巻きこまれていく。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
丘野詩果
8
図書館へ絵本を探しに行って、目にとまった。1995年刊だから20年以上前。 昭和が終わる頃、児童館の昭和展で5年生の一也は、ある発見をする。それは、どの時代の写真にも、同じ人物、15〜16歳の少年が写っているのだ。 彼は一也と友人の未来の前に姿を現す。自分は特攻隊で墜落する時に、時空大明神のお守りで時間旅行が出来るようになったと言う。一也たちは、少年兵と共にタイムトラベルをして、戦争が起こらないように画策する。歴史は変える事ができるのか、永遠のテーマである。電車とバスの中で一気読み読了。 2017/01/16
新田新一
7
主人公の一也は写真展の会場で不思議な事に気づきます。撮影された時期が異なる複数の写真に、同じ少年が写っているのです。驚いたことに、会場にその少年がいて、一也に声をかけてきました。彼は太平洋戦争が起こるのを防ごうとしているタイムトラベラー。ジュブナイルSFの傑作です。この不思議な出だしによって、物語の中に一気に引き込まれます。作者は少年兵として戦争に参加したそうで、戦争を憎む気持ちが強く伝わってきます。でも説教臭いところはなくて、面白い物語を読む楽しみを味わえます。皮肉な結末に大きな意味があると思いました。2023/10/01