出版社内容情報
中一の草子は、学校に行けなくなってしまい、今は図書館に通う日々を送っている。
ある日、ふとしたことをきっかけに、初めてレファレンスを希望する。
やがて司書の深津さんから渡されたのは「しずかな魔女」というタイトルの白い紙の束。
ふたりの少女の、まぶしい、ひと夏の物語だった。
物語を読み終えた草子の胸に、新しい何かが芽生える。
それは小さな希望であり、明日を生きる力だった。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
chimako
103
児童書真っ只中の本に還暦過ぎたおばさんは泣かされ、気持ちが軽くなりました。市川朔久子さんの書く子どもたちはどこかに生き辛さを抱えながらよく考える。何とかそれと折り合いをつけたり、乗り越えたりする強さも持ち合わせている。この物語は不登校で図書館通いを続ける中学生 草子に司書 深津さんから手渡されたお話が作中作として中枢を成す。元気の良いひかりとおとなしい野枝。二人の一夏の物語は思わぬ結末で涙を誘う。あー、良かったと胸を撫で下ろし明日が楽しみになる。草子も1歩踏み出した。さぁ、明日も魔女の修行が待っている。2019/08/31
ゆみねこ
103
この夏、沢山の方に読んでいただきたいお薦めの1冊。学校に行くことが出来ない草子がはじめて図書館でレファレンスを希望した。そして司書の深津さんから渡された、白い紙の束。読み終えて感動の涙が。市川さんの著作、じんわりと心に染みてきます。2019/07/05
はる
97
これは凄く好み。学校に行けなくなった草子は図書館に通うように。そこには素敵な女性司書さんがいた。彼女が伝えた謎の言葉「しずかな子は、魔女に向いてる」とは……?。作中で描かれる、もう一つの物語「しずかな魔女」もとてもいい。子供の頃の、仲良しだった子のことを思い出した。訳もなく手をつないで駈け出したり、顔を見つめ合って笑いが止まらなくなった、あの感覚。爽快感溢れるラストが素敵。2019/07/31
☆よいこ
89
YA。〈学校に行きたくない子は、図書館にいらっしゃい〉中学生の草子は毎日図書館に行く。なんとなく後ろめたい気持ちで過ごしていたが、落ち込んでいた時、司書のお姉さんから〈しずかな子は、魔女に向いている〉という言葉をお守りとしてもらう。草子は、その言葉が出てくる話を読んでみたくなり司書に相談すると、しばらくして物語の書かれた紙の束を渡された。▽小学4年生の女の子ふたりの楽しい夏休みの物語。魔女になるためには「よく見ること、そしてよく考えること、またよく見ること」が大事。▽ページ数も文字数もやさしい。2019/08/02
ぶんこ
78
市川さんの本は素晴らしい。意地悪されたわけでもなく、自分でも分からないけれど学校に行けない草子。学校の代わりに図書館通いの中、司書の深津さん、中年おじさんの館員がそっと後押ししてくれる様子にグッときました。「しずかな子は、魔女に向いている。」と言う言葉をお守りとしてくれた深津さん。その言葉を言ったユキノさんに私は憧れてしまいました。一夏をひかりちゃんと過ごせていいなぁ。「絶海の孤島にだって、同じ地球の上だから、よく考えて調べてお金を貯めれば行かれる」・・そうだ!行かれる。旅心が沸き起こった本となりました。2019/08/12