出版社内容情報
中山 聖子[ナカヤマ セイコ]
著・文・その他
内容説明
「ここではないどこかへ行きたい」飛び乗った水色のバスが向かった先に、あったものは―。なつかしさとやさしさに包まれる静かな感動作。毎日小学生新聞に好評連載されたシリーズの単行本化!
著者等紹介
中山聖子[ナカヤマセイコ]
2004年『夏への帰り道』で第13回小川未明文学賞。2005年『心音』で第15回ゆきのまち幻想文学賞。2007年『チョコミント』で第24回さきがけ文学賞。2008年『コスモス』で第1回角川学芸児童文学賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ゆみねこ
61
ここではないどこかへ行きたい、四人の小学生がそう思ったとき、誘われた先にあったのは昔懐かしい「千代商店」。優しい千代ばあちゃんに出会えた子供たちは、きっと辛い毎日から抜け出すことが出来るはず。児童書ですが、大人の皆さんもぜひ!2018/06/09
はる
55
これは良かった!優しくて温かい、少し不思議な物語。泣きたいほどの苦しみや悲しみを抱えた子供たちが主人公の連作集。切羽詰まった状態の彼らは、突然現れた不思議なバスに乗って、懐かしい千代ばあちゃんの駄菓子屋に到着します…。子供たちの心情が繊細に描かれていて何とも切ない。そしておばあちゃんの包み込むような優しさ…。最後の章の「かわいそう」という言葉の残酷さ、凄く良く分かる。続編期待。2018/05/05
ぶんこ
45
親への様々な思いを抱えて鬱屈した小学生が、水色の小さなバスに乗って着いた先は「千代商店」。千代おばあちゃんにジュースやアイスをご馳走になって、ちょっとしたお喋りをすると、なんだか元気になった気がする。物事をプラス面から捉える千代おばあちゃんと、文句ばかり言っている英太君のお父さんが真逆なだけに、千代おばあちゃんの良さが際立ちました。僻みっぽかった私が、プラスにと自己暗示をかけるように訓練した若かりし頃を思い出しました。反省はんせい。とってもステキな本でした。2018/05/31
遠い日
20
家庭、暮らしに不足、不満を抱え、行き場のない子どもたち。そんな彼らがまだ幼なかった幸せな時代の思い出の場所に立ち返る。まんまを受け入れ、認めてくれる千代ばあちゃんが営む千代商店への、ひとときの回行。苦しい今を嘆く彼らに、人を慮る深い気持ちに気づかせてくれる千代ばあちゃんとの対話がすてきだ。「ここではないどこか」を求め、逃げ出したい衝動が、大切な想いに引き戻してくれる場所。きっとばあちゃんのやさしい魂が子どもたちを導いてくれたのだ。2018/03/18
木漏れ日の下
18
ノスタルジックな郷愁と子供達の胸の内を想うと切なさが込み上げてきました。色んな気持ちを抱えて踏ん張ってる子供達のところへ不思議なバスが現れ、懐かしい千代商店に連れてってくれる。そこでちよばあちゃんと話すことで、少し気持ちが軽くなったり忘れてた一場面を思い出したり…。決して子供達の悩みが解決するわけでも、状況が好転するとも限らないんですが、一時のエスケープをすることで子供達がまた歩き出せる。そんな彼らのこれからを応援したくなります。子供のSOSに気づいてないバカちんな親にならないよう気をつけます。2018/03/25