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出版社内容情報
カラン、コロン、下駄の音と牡丹の灯篭。愛しい新三郎に会うために毎晩やってくるお露。美しい娘の正体は実は…。
人間の恐ろしさと美しさの内面を映し出す物語。
落語の速記から生まれたこの作品は歌舞伎などでよく演じられます。恋しい新三郎に会いにくるお露。カランコロンと下駄の音とともに牡丹灯篭を掲げて毎晩通うのですが…。
【著者紹介】
【金原瑞人・著】 岡山県生まれ。翻訳家、法政大学社会学部教授。主な訳書に、『豚の死なない日』『スウィート・メモリーズ』『ルーム・ルーム』『青空のむこう』『難民少年』『クリスマスの天使』『かかし』『ヘヴンアイズ』「バーティミアス」シリーズ『火を喰う者たち』『かかしと召し使い』「ウォーリアーズ」シリーズ「ミッドナイターズ」シリーズ『リビアの小さな赤い実』『武器よさらば』、など多数。
著者等紹介
金原瑞人[カネハラミズヒト]
岡山県生まれ。翻訳家、法政大学社会学部教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
みや
22
明治時代に書かれた落語の怪談噺。お露の亡霊に憑かれた新三郎の幽霊譚が有名だが、お露の父親を中心とした物語の方が分量は多い。親の仇打ちや三角関係など現実的な事件が複数起こり、人間関係も結構複雑。後半になるにつれて人物や事件が絶妙に絡み合っていき、最後に全てが見事に回収されて面白かった。特にお露の父がかつて殺した相手の息子との間に築く主従関係が好き。憎しみではなく、無垢な愛ゆえに憑りつく幽霊譚は、怖いだけでなく切なさも纏いついて非常に良かった。実際はもっと長く、結末も少し違うらしい。ぜひとも原本でも読みたい。2020/09/27
杏子
17
このシリーズの最新作『真景累ヶ淵』を読んだら面白かったのでこれも読んだ。『牡丹灯籠』がこんな話とは思わなかった!カランコロンと毎夜やってくるお露に取り殺された新三郎さんの話はメインではなくて、他に主軸があったのね。そして幽霊話ばかりではなく、人と人との因縁を描いたものだった。幽霊より恐ろしいのは人なのかもしれない。お徳のお父さんが意外におっちょこちょいだったのがおかしかった。児童書であったせいかとても読みやすい文章で書かれていた。円朝さんの本も何故か?(笑)持っているので、読んでみたい。2017/06/11
マツユキ
16
金原瑞人さん、佐竹美保さんで、古典怪談というのに惹かれて、読みました。 寛保三年(一七四三年)、刀屋の前で、飯島平太郎は、因縁をつけてきた黒川孝三を切り殺す。月日は流れ、平三郎の娘、お露と、荻原新三郎、飯島家で働く孝介を中心に、様々なドラマが…。ゴーストストーリーも怖いですが、生きている人間の悪巧みが…。悪いことをしたら、報いを受ける。正しく生きていれば、苦労の末、幸せになれる。お露たちが可哀想ですが、最後は幸せだったのでしょう。読みやすく、ユーモラスさもあり、絵も雰囲気があって、良かったです。 2020/08/27
藍沢
13
ホラーにしては幽霊の出番が少ない。でも人間の愛憎劇がどこまでも繰り広げられているから怖いなあ。古典がこんなに面白いとは思わなかった。昔から人間は怖かったんですね。でも仇を討つのがいい!!幸助大好きです、かっこいい。そして生きているときに結ばれなかった2人も死んだけど最終的には幸せになれてよかった。原作も読んでみたいなあ2014/04/11
ララ
6
牡丹灯篭って、こんなお話だったのかー。幽霊になっても愛しい人と添い遂げようとしたお露の話は、ほんの一部で、仇討ちや親子の絆、悪だくみのカップルなど、サイドストーリーが複雑に絡み合っている。落語の怪談話だったのも初めて知った。2021/09/27