目次
1 紙風船(紙風船;海 ほか)
2 あなたも単に(きみちゃん;捨て猫 ほか)
3 自由(自由;月給取り奴 ほか)
4 ああ(砂上;ああ ほか)
5 たかが詩人(傍観者の出発;友よ ほか)
著者等紹介
黒田三郎[クロダサブロウ]
詩人。1919年、広島県呉市に生まれ鹿児島市に育つ。旧制高等学校時代に詩を書き始める。戦後、南方から帰国してNHKに就職、協会に勤務しながら活発に詩作を続けた。結核と闘いながら発表した第一詩集『ひとりの女に』でH氏賞を受賞。その後、娘との生活を詠んだ『小さなユリと』など次つぎと詩集を発表、人間らしく生きたいと願う黒田の詩は多くの人の共感をよんだ。1980年、60歳で病没
伊藤英治[イトウエイジ]
1945年、愛媛県に生まれる。編集者。書評新聞「図書新聞」、雑誌「日本児童文学」を経て、編集プロダクション恒人社に所属(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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新地学@児童書病発動中
110
普通の生活人の感情を叙情的に表現した黒田三郎の詩は、何度読んでも心に沁みる。技巧や華麗な表現を避けて、一人の人間が自分の胸の中をこちらにさらけ出してくれる感じだ。これだけ繊細な感受性を持っていたら、生きづらかったはずだが、詩自体はそんなことをあまり感じさせない、ほろ苦いユーモアをにじませたものが多い。日本の詩人の中で抒情詩人という言葉が一番似合う人だった。「落ちて来たら/今度は/もっと高く/もっともっと高く/何度でも/打ち上げよう/美しい/願いごとのように」(紙風船)2015/08/07
蔦屋重三郎そっくりおじさん・寺
59
先日、この黒田三郎の詩集『小さなユリと』(夏葉社)を読んで、著者の詩に興味を持って図書館から借りてきた。図書館の分類では、児童図書の扱いになっていたが、中身を読むと天皇に否定的な言葉を使った詩が収録されており、本書の出版社が何らかの気骨がある事がわかる。私が心奪われたのは『もはやそれ以上』という詩。ラストの「少女よ/そのとき/あなたがささやいたのだ/失うものを/私があなたに差上げると」にはハッとさせられた。この「少女」とは運命の事である。「少女」は身を投げたのである。残酷だが、希望がある。黒田三郎、いい。2020/10/29
takao
0
ふむ2025/02/12