内容説明
「道程」「パリ」「レモン哀歌」「クロツグミ」など代表作四十一編を収録。
目次
1 詩人(根付の国;刃物を研ぐ人 ほか)
2 風にのる智恵子(風にのる智恵子;あどけない話 ほか)
3 樹下の二人(十和田湖畔の裸像に与ふ;冬が来た ほか)
4 山のともだち(クロツグミ;山からの贈物 ほか)
著者等紹介
高村光太郎[タカムラコウタロウ]
詩人、彫刻家。1883年、彫刻家高村光雲の長男として東京に生まれる。東京美術学校彫刻科に学ぶ。卒業後の1906年から1909年にかけて欧米に留学、彫刻だけでなくベルレーヌ、ボードレールなどの詩に影響を受ける。帰国後は、詩作を中心に評論・翻訳などを盛んに発表し、近代詩人を代表する一人となる。代表的詩集に第一詩集『道程』、病める妻を詠った『智恵子抄』などがある。1956年没
伊藤英治[イトウエイジ]
1945年、愛媛県に生まれる。編集者。書評新聞「図書新聞」、雑誌「日本児童文学」を経て、編集プロダクション恒人社に所属(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
shiho♪
18
学校図書館本。タイトルの『道程』が読みたくて手に取る。「僕の前に道はない 僕の後ろに道は出来る」 他にも母への深い思い『母をおもふ』 自由と文化の都市『パリ』 妻・智恵子とのエピソード『あどけない話』などなど。 そういえば、高校生の時、友人が「結婚するなら高村光太郎のような人がいい」と言ってたのを思い出した。『レモン哀歌』など智恵子さんに纏わる詩は悲しくも優しい。統合失調症を患った智恵子さんを献身的に支えていた光太郎が詩からも目に浮かぶ。『智恵子抄』も読みたい。2023/03/22
Natsuko
16
あまりにも有名だが、改めて読んだことはなく、でもおそらく教科書で読んだことのある作品が2桁にのぼる。哲学的に口ずさみたくなる「あたり前」「道程」。そして第2章が圧巻。「風にのる智恵子」「あどけない話」「千鳥と遊ぶ智恵子」「値ひがたき智恵子」で統合失調症を患うもののあどけなく愛らしい智恵子が描かれる。さらに「レモン哀歌」で智恵子の命が尽き「荒涼たる帰宅」で亡骸が帰宅。智恵子亡きあと、すべてが滞りなく進んでいくのに、心をなくしてただ立ち尽くす光太郎、淡々としたラスト一行「外は名月といふ月夜らしい」が沁みる。2021/09/07
ダグラスまま
10
たまには詩集も。レモン哀歌、やっぱりいいよなぁ。一瞬の視線のきらめきを、愛情のつながりを、死の寂しさを、何行かの言葉で書ききるのはただただすごいと思います。目の色から愛情を汲み取れる関係っていいよなぁ。2015/04/27
Takako
4
高村光太郎の代表的な詩を集めた詩集です。力強くも繊細で、凛とした言葉の連なり。知っているはずの言葉が、どんどん違った表情を見せるその変幻自在な様に、感嘆の溜息が漏れます。「最低にして最高の道」「詩人」が好きです。2017/10/14
コニコ@共楽
4
シンプルな表紙に惹かれて読んでみました。教科書に載っていた「道程」を歳を重ねて読んでみると、いろいろな想いがこみ上げてくる気持ちになります。智恵子のことを詠んだ「レモン哀歌」が切なく胸に迫ります。2013/05/08