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出版社内容情報
1800年に建てられた古い一軒家。その庭に毎晩,魔女のような気味の悪い老婆がやってきて,住人を恐怖に陥れる…。他2編収録。 小学生高学年から
内容説明
ある本を書くために、わたしは、ニューヨークのうらさびれた町に、一軒の家をかりました。ところが、800年に建てられた、その古い家の庭に、夜な夜な、よぼよぼの老婆があらわれて、花壇をみつめるのです…。ベン・ヘクトの表題作のほかに、ブラックウッドの「ランニング・ウルフ」、フォースターの「天の乗合馬車」の二編を収録。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
HANA
67
シリーズ九冊目。今回は現実と幽冥界の交感的なファンタジックな作品が多い印象。注目はブラックウッド「ランニング・ウルフ」。湖への釣行という出だしから「柳」的な恐怖小説かと思いきや、爽やかな読み心地の一編であった。狼と主人公の関係が良いなあ。ベン・ヘクト「死のなかばに」はそれを裏返したような内容。老婆の行為が罰に思えてくるなあ。最後のフォースター「天の乗合馬車」も詩心を持つ少年とそれを失い詩を栄達の手段として捉えた大人の対比が何とも残酷な作品。異界との関係は美しくも恐ろしい、その魅力が詰まった一冊でした。2024/08/29
藤月はな(灯れ松明の火)
60
相変わらず、このシリーズの表紙はパンチが効きすぎている。「ランニング・ウルフ」はバカンス中に起きた不思議な出来事を描く。人間のように焚火の前に座る狼の図はシュール過ぎて目が点になるしかなかった。だが、呪われた存在となってしまった彼に友情と救いが齎されて本当に良かったと思わずにいられない。対して同じテーマなのに不気味さと不可解さが続く「死のなかばに」。孤独や不信感、理解不能な現象に苛立つが為に人を遠ざけてしまう不毛さは嘗ての自分も似たようなことを経験していたからこそ、読んでいて焦燥感が募るしかなかった。2024/09/28
あたびー
31
この巻に収録されているのは3話。ブラックウッド「ランニング・ウルフ」は、カナダの雄大な自然の描写が美しい。自分を見つめるオオカミに気づいたキャンパーが勇気ある人間で良かったね、と思う。ベン・ヘクト「死のなかばに」は心理描写が多く、物語の進行の遅い重苦しい作品なので、この本がターゲットにしている若年層は飽きてしまうかもしれない。対照的にEMフォースター「天の乗合馬車」は天真爛漫な子供を主人公に据えた、子供にも楽しめる作品。子供の心を持ち続けることはほぼ不可能です。2025/03/31
Kouro-hou
25
児童向け怪奇小説全集の9巻。このシリーズの中では長めの中篇3話を収録。3話とも恐怖というよりは世にも奇妙な…やトワイライトゾーン的な味わい。表題作は、よく調べずに引っ越してきた作家が家に出現する怪異に悩まされる話だが、原稿が書けないのは出現者のせいだけではなさそうな。 ブラックウッドの「ランニング・ウルフ」は爆釣な湖に出現する怪しい狼の話で、周囲の状況はじわじわホラーしているのに語り手は湖周辺に楽しくキャンプ&楽しく釣ってて狼にも愛着を感じている辺りが味があるw2015/11/16
くさてる
20
児童向けホラーアンソロジー九冊目。ブラックウッド「ランニング・ウルフ」は狼の姿が神々しく美しい一品。ヘクト「死のなかばに」は幽霊の姿や由来を含めてオーソドックスな怪奇譚。でもやはり、フォースター「天の乗合馬車」の不思議で美しいイメージと皮肉な展開とラストが印象的でした。2024/09/07